13-1. 破壊する創造者 15章〜14章

  最新の進化論「Virolution」のご紹介記事です。
  人類の遺伝子の中に組み込まれ内在化した内在性レトロウイルスと人類進化に関する進化学の学術記事です。
  「Virolution (邦題「破壊する創造者」)」は全15章あります。 最新の進化学の現状を知ることは考え方の幅を広げる役に立つと思います。早川書房、2500円+消費税です。
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15章 エピジェネティクス進化は遺伝子が変異するのではなく、発現機序が変化すること

  本来医者である本書の著者フランク・ライアン氏は最後の3章分は遺伝病の話にほぼ終始しました。そしてそれはDNAの発現メカニズムに 狂いが生じることが原因である、と説明しています。 本来進化の要因のはずの推進力が一方病気の原因でもあるのです。とくにガンの話は恐るべきものです。人類の大敵のガンは、自然選択から みると優先的に選択されるものらしいのです。 だからガンは自分では進化しているつもりなのだそうです。我々にはいい迷惑なのですが。

  下図が、本書の最終まとめです。4種の進化の推進力があります。3種は「遺伝子」そのものが変化しますが、最後のエピジェネティクスは 遺伝子の「発現のメカニズム」が変化するのです。そして喫煙など環境の影響を受けるのもエピジェネティクスなのです。
  

  日本人の遺伝子を考えるための自己啓発として本書を読んできましたが、これで終わりになります。

  本書のカバーに描かれているタコのような頭でっかちの物体はバクテリオファージと言います。異物を掃除するのがマクロファージですが、 バクテリアを掃除するのがバクテリオファージです。 電子顕微鏡の研究者だったころに電子顕微鏡で撮影した写真を最後にご紹介して「破壊する創造者」の勉強は終わりにします。
  

  論文のコピーなので写真が若干荒れていますがご勘弁ください。左端はγーPhage、中央はT4−Phage、右端はT4−Phage を立てて 影をつけてみた写真です。脚が2本見えますが、本当は6本ぐらいあるのですが、数本が固まってしまっています。 右端の写真で10万倍ぐらいに拡大しています。

  ではY-DNAやmtDNA遺伝子がハプロタイプに分化し更に亜型、子亜型に分化する要因は何だったのでしょうか、 本書の結論から素直に考えると、

・ネアンデルタール人との亜種交配
・ウイルス感染、細菌感染(特にアフリカや熱帯雨林など厳しい風土病環境の地域)
・灼熱の過酷なアフリカ大地から出アフリカ後の穏やかな環境への変化、
・出シベリヤの原因になったシベリヤ大地の寒冷凍土化と寒冷地適応、
・狩猟採集から農耕への生活スタイルの変化、
・牧畜から農耕への生活スタイルの変化、
・出アジアしオセアニアに拡散した居住環境の変化などなど.....、

  ところが、現代人類の居住環境の変化と生活スタイルの変化は全てエピジェネティクスな要因なので遺伝子の分化には影響を 与えないのです。

  では我々今生きている人類の遺伝子の子亜型はもうこれ以上変化しないのでしょうか?もしくはこれからも変化するのでしょうか? 当然これからもどんどん変化するはずですが、本書ではその変化するスピードは対象となる動植物によっては数代で獲得形質になる場合が あると紹介しています。でも遺伝子は変化しないのです。発現のメカニズムが変わるだけなのです。 では人類では?残念ながらそこまでははっきりとは書かれていません。
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14章 エピジェネティクスは遺伝子の変異ではなく、発現機序をコントロールすること

  本書の最後に近くなってきましたが、テーマは先天性疾患の話になってきました。そして癌の話題です。また老化にも触れています。 エピジェネティク(後天的に獲得したDNA発現の制御作用)のメカニズムのことをエピゲノムと呼ぶのだそうですが、エピゲノムは常に 環境の影響を受け続けているそうです。周囲の環境からあるシグナルが発信されると、それを認識して遺伝子発現制御配列に 指令が出され、配列はその指令に応じて対応する遺伝子の発現を調節するのだそうです。つまり環境の変化が即、生物の変化に 繋がるのだそうだ。

  ここで著者のまとめは次のようです、

  「人間の体を作る細胞は全て同じDNAを持っているが、神経を作る細胞、肝臓を作る細胞など異なる細胞に変化するのは何故か? つまり同じ遺伝子であっても細胞ごとに発現の仕方が違うからに 他ならない、それをコントロールしているメカニズムがエピジェネティクス」なのだそうだ。   そのメカニズムは今のところ次の3つあるらしい。

・メチル化   :DNAの4塩基の1つ「シトシン」のメチル化、
・ヒストン修飾 :ヒストン(DNAと結合し折りたたみ核内に収容するタンパク質)のアセ
         チル化、
・RNAi(RNA干渉):遺伝子のタンパク質への翻訳に干渉し、mRNAの特定の分子を破壊す
          る、つまり該当する特定のタンパク質の合成を妨げる。

  この3つのメカニズムは細胞分裂時に受け継がれるようだ=遺伝する。しかも複数のメカニズムが同時に働くこともあるらしい。 つまり協調し合って機能しているのだそうだ。でもあまりに複雑すぎて まだよくはわかっていないとのこと。   先天性疾患の例が示された。

・妊娠中の母親の食事に「葉酸」が不足すると、

  ・胎児の脊髄の形成に問題が生じる、
  ・胎児が水頭症にかかりやすくなる、
  ・胎児の脊柱管の下部の癒合に失敗する可能性が高くなる、
  ・生涯、脚にマヒが残る。などの先天性疾患が現れるのだそうだ。

 「葉酸」はアミノ酸のメチオニンの合成に欠かせない栄養素だが、このメチオニンはなんと、
 メチル化に使われる「メチル基」を供給する役割を持っているのだそうだ。
 つまりメチオニンができないため、DNAのメチル化が行えず、メチル化が行われないと遺伝
 子の発現作用が正しく働かなくなり、正しい遺伝子制御ができなくなる、と言うのだ。

  葉酸の摂取必要値
   成人女子推奨量:240μg、成人男子推奨量:240μg
  葉酸が多い食品例は、「簡単!栄養andカロリー計算」さんから 頂きました。
  いまどきの若い女性はあまり食べないものもありますね。
  重要なことは、遺伝子は両親から1組づつ受け継ぐが、子供の遺伝子ではどちらの親から受け継いだものを使うのかが選択される、 らしい。このため、片方の親から受け継いだ遺伝子のみが発現する、ようだ。この現象を「ゲノム刷り込み」と呼ぶのだそうだ。 そして遺伝子によっては当然だが父親由来と母親由来ではエピジェネティクな働き方が違う場合が生じる。 その時、不幸にも選択された遺伝子に先に紹介したエピジェネティックな問題があると先天性の疾患になってしまう、たとえ選択 されなかった方の遺伝子が完全に正常でも、残念な結果に終わる、のだそうだ。本書では、さまざまな遺伝病の例が紹介されている。

・エピジェネティクな癌の定義
 「癌」とは、細胞の外見とふるまいが異常になること。
       細胞が無制限に次々に増殖する利己的な存在になること。
       細胞が道を踏み外すこと。

    道を踏み外した細胞が1個とかせいぜい数個だけの内なら、その利己的な振る舞いは細胞や細胞内の遺伝子のの生存や増殖にとって 有利なものだそうだ。むしろ「自然選択」によって、「最も大きく道を踏み外した細胞」こそが最も選ばれやすくなる、のだそうだ。 つまり「自然選択が選ぶのは間違いなく細胞や組織のホメオスタシス(内外の環境の変化にかかわらず生物の体の状態が一定に保たれること) を維持することに最も強く抵抗する細胞だろう」と言うことらしい。これは厄介なことです。人間にとって破壊者である癌は自然選択側に とっては最も好ましい状態なのです。

  つまり、細胞のゲノムのある部分では脱メチル化が過剰に起き、癌遺伝子を不適切に活性化させ、ある部分ではメチル化が過剰に起き、 癌抑制遺伝子を不適切に不活性化し、どちらにしても癌の原因になっている、と言うのだ。

  ではエピジェネティクな作用以外の癌は?環境要因の例として、

・喫煙による癌誘発効果、
  喫煙の刺激で「RNAi」の産生が促進され、抗癌遺伝子の発現が抑制される。
・ウイルス感染による癌誘発、
  子宮頸癌を起こすパピローマウイルスが有名、
が挙げられた。

●老化の話題に入りました。

  細菌やアメーバなどの単純な生物は決して年をとらないのです。ところが多種多様な細胞、組織、器官から成る複雑な生物が受け 継ぐべき「遺産」が、「年を取ってやがて死ぬ」ことなのだそうだ。シーラカンスもガラパゴスの動物たちも人間も全て「年を取って やがて死ぬ」のです。老化するとエピジェネティクなメカニズムが機能しなくなるらしい。

  エピジェネティクス研究では遺伝学同様、一卵性双生児を研究に使う。目的は違います。

・遺伝学では、いかに「同じ」かを説明するために、
・エピジェネティクスでは「差異」を明確にするため、です。
  つまりエピジェネティクなメカニズムの働きで人にどのような差異が生じるのか、研究するのです。一卵性双生児ということは、 お互いがお互いのクローンで全く同じ遺伝子を持っているのですが、もし後天的な制御作用が進化に働くなら、遺伝子は全く同じでも、 常に一緒に全く同じ生活をしなければエピジェネティクな作用は異なるはずだからです。

  30組の男性の一卵性双生児、50組の女性陣の計80組、そして年齢は3歳から74歳まで「究極の実験」が行われたそうです。 調査の結果は、

・生まれて間もないころ、幼い間ならエピジェネティクなメカニズムの働きはほぼ同じで、
  若い双子ほど互いに良く似ている。

・しかし年齢が高くなるほど、互いの違いが明確になってくる、そうです。
  DNAのメチル化やヒストン修飾に違いが生じるのだそうです。

    両者の違いは、二人のライフスタイルが違っている場合ほど、一緒に暮らした時間が少ないほど、顕著に表れるようだ、 たとえ遺伝子が同じでも、発現する際には環境が大きく影響すると言うことです。これが、一卵性双生児でも病気へのかかりやすさが 異なる理由になるかも知れないのです。一卵性双生児の関節リウマチへの罹患率は本来なら100%一致するはずですが30%しか一致しない。 関節リウマチはある程度年齢が上がってからかかる病気のため、それまでの時間暮らした環境が違えば違うほど罹患率は違ってくるのです。

  一方ストレスも自己免疫疾患の原因になりやすいが、ストレスホルモンの副腎皮質ステロイドは遺伝子やエピジェネティクスへ 影響することがわかってきているそうです。

  本書では、エピジェネティクスの研究は遺伝子研究の20年前の水準にしか達しておらず、研究レベルはこれからまだまだ上がる、 大手の製薬会社もエピジェネティクスの研究に乗り出して来ており、癌、炎症性疾患、先天性異常、遺伝性疾患、糖尿病などのほか 慢性的な病気の治療や老化の対策にエピジェネティクスが応用されるだろう、ということのようです。

  老化により引き起こされる疾患への有効な治療法の確立などで、老化防止策が数多く開発される可能性がある、とこの章を締めく くっている。エピジェネティクスの操り方がわかれば、先の紹介した、機能遺伝子、ミトコンドリア遺伝子やレトロウイルス関連の 遺伝子配列などゲノムをのあらゆる部分を操作することが可能になるかもしれないのだそうです。

  もし本当にそういう時代がくるなら、医学は急速に進歩するのでしょうが、今のような混沌とした時代で長生きはしたくない、 というのが本音で余計なお世話だ、と言いたい!100歳まで元気で生きられるとして、何をして暮らすの?働く?レジャー?瞑想?、 何をするにも住むところと元手が必要。誰が用意してくれるのか?こんな時代で自分の娘がかわいそうだと感じているのに、 長生きしてどうする!などと、欧米人は考えないのです。元気で長生きをすれば、することが沢山あるんです、彼らは!羨ましい。
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13章 内在性レトロウイルスが胚発生の初期段階で重要な役割を果たしているらしい

・発生のごく初期の段階では遺伝子の制御に関して、エピジェネティック(後天的な遺伝子
  制御作用)なメカニズムが働くことはなく、むしろ内在性レトロウイルスが胚発生の初
  期段階で非常に重要な役割を果たしているらしいがまだ解明されていない。
・受胎初日に受精卵は全く同じ細胞に2分割される。
・受胎後4日目には16個〜32個の細胞に増加し球体になる。
・翌日中が中空のゴムまり状の胞胚になる。外側は後に胎盤になる。
・その後何日間かで胚が子宮内膜に着床する(ここで内在性レトロウイルスが働くらしい)。
・子宮内膜が剥がれ落ちないように胚はHCGを分泌し、卵巣を刺激し月経を防ぐ。
 (昔研究者だったころに妊娠診断薬の開発を行いましたが、その時に妊娠診断マーカー
  に使ったのがHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)なのです。)
・受胎7日〜10日には胞胚の一部が中に窪む原腸陥入(後に肛門になる)が起こる。ここま
  では全ての細胞は最初の受精卵のコピーだけであるが、原腸陥入が起こると重要な制
  御遺伝子が働き始め、それが作り出した化学物質によって、いよいよ遺伝現象が再生
  され始める。なんと肛門が最初に作られるのである。
・受胎後12週には肺と脳以外のほとんどの器官、身体の部分が出来上がり、後は大きく成
  長するだけになる。脳はあまりに複雑なため誕生後に発達をするのだ。誕生直後の何
  日間、脳細胞は毎分25万個のハイペースで増加するのだそうだ。最初の2年間で大き
  く、複雑になる。チンパンジーの脳は誕生時にはヒトと変わらないが、大人になるとヒ
  トの脳はチンパンジーの3.5倍の重さになる。
・実はこの間も親から受け継いだ遺伝子は両親からの核遺伝子も、母親からの細胞質遺
  伝子もレトロウイルス関連の成分も、すべての細胞で全く同じなのだ。

・遺伝情報には2つのシステムがあり、
 1つは遺伝子そのものが持つ情報で真に遺伝的なもの。
 2つ目は、個々の細胞でどの遺伝子を発現させるかを決める補助的メカニズムでエピジェ
  ネティックなもの、つまり遺伝子の働きを操作するメカニズムが存在するのである。そ
  の働きはDNAの4塩基の1つシトシンをメチル化させるらしい。そして制限酵素が働くら
  しい。要約すると、エピジェネティックなプロセスによって個々の遺伝子の発現スイッ
  チが適当なタイミングでオン・オフされている、のだ。シトシンがメチル化されるとス
  イッチはオフ、脱メチル化されると遺伝子のスイッチはオンになるのだ。そして重要な
  ことはメチル化が起きてもDNAの配列には変化が起きないことだ。
・そしてエピジェネティックな遺伝子の操作は遺伝をするらしい。
・しかも、環境からのシグナル(影響)によって遺伝子に直接エピジェネティックな変異が
  誘発され、それが遺伝する、のだ。この論理は何となく飛躍があるような気がしますが
  、著者は気にしていないようです。
・そうしてそれが進化につながってゆく。
・そうしてエピジェネティックな変異が蓄積し、それが「獲得形質」となり
・獲得形質が遺伝の対象になることによって進化が起き新たな「種」が生まれる、そうだ。
・エピジェネティックな遺伝はmtDNA遺伝と同様メンデルの法則に従わないそうです。

・本書の結論は、
  エピジェネティックなメカニズムはDNAの遺伝子機構から独立して作用し、
  その働きは環境の影響を受け、生物は環境に直接呼応するように進化できる。
  遺伝子以外の要素がDNAの発現を複雑に制御している...です。

  キリンの首が何故長くなったか、首だけでなく体高も高くなっています。それは長いほうが樹上の葉を独占して食べることが できるからですが、「突然変異」でたまたま首の長い馬が生まれれば食事に優位なために「自然選択」されると思いがちですが、 どう考えてもバランスがとれず走りにくく、肉食獣に簡単に食べられ、逆選択され絶滅するだけでしょう。 つまり首が長くなる突然変異はアフリカでは優位ではないのです。また子孫を残すには 複数の馬に同時に突然変異が一斉に起きる必要がありますが、その確率論より、全部の馬が樹上の葉を食べるために首を伸ばし続 けたために、少しづつ首が伸び体高も高くなりそれが徐々に遺伝子に書き込まれていった、と考える方がまともな気がします。 徐々に伸びるならバランスも対応でき走ることも上手くなるでしょう。これぞラマルクの獲得形質です。

  しかし本書で書かれているエピジェネティックスがキリンの例に当てはまるのかどうかは触れられていません。 直感的にはラマルクの進化論とエピジェネティックスは何か違う気がしますが、素人はこのくらいにしておきましょう。
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12章 人とチンパンジーの共通の祖先は分離後も200万年は通婚したらしい

  この本は新しい進化論行きの新幹線に乗っているようだ。解りやすい書き方のおかげで内容がどんどん脳ミソに叩き込まれてくる。 12章はまだ半分しか読んでいないのだが既に怒涛の展開です。

  現代人類とチンパンジーが別種として分岐したのは700万年前頃とされていますが、遺伝子の変異の1回の出来事による分岐では なさそうだ、と言うことがハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の合同チームの研究でわかったらしい。人の染色体は22対の 常染色体と1対の性染色体からなることは教科書に出てきますが、人とチンパンジーの常染色体の遺伝子調査ではどの染色体を 選んでも分岐年代はほぼ同じになるのに対して、性染色体の調査では分岐年代はづーっと新しく630万年前頃だそうです。 我々外野席から見れば誤差範囲のような気がしますが、進化学的にはかなり違うようです。

  答えとして合同チームが用意したのは、「人とチンパンジーの祖先は一応分岐はしたが、その後もしばらくは交配があり、 そして630万年前頃完全に分岐した」と言う内容でした。つまり「種」の分化は遺伝子の変化である日突然にスパッと起こるのではなく、 遷移期間・移行期間があるらしい。アフリカの霊長類では異種交配は実は特に珍しいことではない、のだそうだ。 その要因は自然環境の変化、人間による環境破壊など、つまり生態系の変化が大きな要因になるそうだ。

  現代人類が「出アフリカ」を決行したのも当時住んでいた北アフリカの大干ばつで人口が2000人にまで減少してしまったことが 原因なのだ。そして種を維持する本能でネアンデルタール人と交配が起きた可能性がある。人類がアリューシャン列島を渡り新世界に 移動をしたのも当時住みやすかったシベリア大地の寒冷化が原因。ではオーストロネシア語族の出東アジア→オセアニア移住の要因は?

  性染色体の遺伝子解析は常染色体の解析とは少し違った展開を見せているそうだ。X染色体の「RRM2P4」と呼ばれる配列部分は 大陸ごとに不自然な大きな差異がみられ、差異が生じ始めたのは200万年前頃のことらしい、この時期はホモエレクトス(旧人)が アフリカから世界に拡がり始めた頃だそうです。アジアでは3万年前頃までホモエレクトスが存在したことが確認されている そうなので、RRM2P4は旧人と我々新人の交配の結果ホモエレクトスから受け継いだ遺伝子ではないかと考える研究者もいるそうです。 また40万年前頃に現代人類と分岐したネアンデルタール人がヨーロッパやアジアに現れたのが30万年前頃で、現生人類がアフリカの 大地に生まれたのは25万年前頃だそうです。

  そして我々の祖先は5万年〜10万年前頃に出アフリカを決行し中東から西ヨーロッパに進出し、その結果3万年前頃には ネアンデルタール人を滅ぼしてしまった、のが事実だそうです。恐らく攻撃性で優位に立っていたからこそ現生人類が生き延び、 ネアンデルタール人は絶滅させられたのです。これも「自然選択」?。

12章の後半に入りました、ここは11章の後半と同じ多倍体を論じています。

  植物や動物は一般的に2組の染色体を持っています。それぞれの親から1組づつ受け継いだものです。そして子供にはそのうち1組が 受け継がれてゆきます。これが2倍体と呼ばれ人類も2倍体とされています。ところが異種交配が発生すると子供には両親の全ての染色体が 受け継がれ染色体が4組になるときがあります。これを4倍体と呼びます。人類が栽培している穀物類の多くが4倍体なのです。 つまり4組もの染色体を納めるため細胞の核が大きくなり、そのため更に細胞自身も大きくなります。結果2倍体より大きく育ち、 栄養も多いのだそうです。

  ところが自然界では4倍体は偶然の産物のため、4倍体の生物が交配したくても同じ種で同じ4倍体と出会う確率はほとんどなく2倍体の 相手と交配するしかなくなります。そうすると子供に受け継がれる染色体は3組になるため3倍体になりますが、次の交配時に3組の染色体を 2つに分けることはできたいため「不妊」になるのだそうです。4倍体のスイカと2倍体のスイカを掛け合わせると3倍体の「種なしスイカ」が 出来るのだそうです。人工的に染色体が64本の馬と62本のロバを掛け合わせると63本のラバになりますが、63本を2つに分けられないため ラバは不妊・繁殖できず、1代限りになってしまうのだそうです。

  現生人類の染色体中には、HOX遺伝子群と呼ばれる胎生発生(いつ手が出来ていつ脚ができるかなど順番と時期)において重要な 役割を果たす部位があるそうです。「群」と言う通り染色体上に似たような遺伝子セットが4つもあるのだそうです。しかも ウニ・クラゲから人類まで構造も働きもとてもよく似ているのだそうです。つまり長い間の「自然選択」に耐え元の構造を驚くほど 残しているのだそうです。何が問題?かというとうに・クラゲはHOX遺伝子が1つしかないのに人類は4つもある、ということだそうです。 しかも発生に関する遺伝子に4セットなものが意外に多く、発生に関する遺伝子意外の遺伝子にも4セットが見つかり始めているらしい。 著名な日本人遺伝学者/大野乾氏の有名な進化論「遺伝子重複進化論=2R仮説」が4セット現象の合理的な説明をするのだそうです。

  地球最初の生命体の古細菌は数千の遺伝子から成っている、しかしショウジョウバエで1万3600、ウニは2万7千、人類は約2万 (ただしウイルス由来の遺伝子は含まず、機能遺伝子の1.5%分のみで約2万)だそうだ、突然変異と自然選択だけでは生物は複雑には ならない=遺伝子の数は増えない。脊椎動物の進化の歴史の中で大野乾氏は、2回4倍体が生じている、との説を主張された。これが「2R仮説」

 ・1回目:脊索動物(ホヤなど)⇒初期の魚類への進化時期(約5億1千万年前頃)
 ・2回目:魚類と両生類の分岐時期(約4億2千万年前頃)らしい。
  そして現在、遺伝子解析によって2R仮説の正しさが証明されたのだそうです。この遺伝子重複の原因が「異種交配」だろうと 考えられているようです。
  では結局人類は4倍体などの多倍体なのだろうか? 著者の回答は「ほぼ間違いなく多倍体だろう」とのことです。

  ところが更なる本書の展開は...
多倍体化の原因は過去は異種交配だったかもしれないが、現代社会では種々のストレスが大きな要因になることもあり得る、 と説明している。

 ・活性酸素による酸化損傷
 ・外傷からの回復時
 ・ウイルス感染
 ・加齢 など。

つまり進化の推進力は病気の原因になることも多い。と注意している。多倍体化は特に癌研究者も 注目をしているそうです。
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  後半に入り遺伝子病がクローズアップされてきましたが、カバーする内容が章のタイトルと必ずしも1対1ではなくなってきています。 現在読んでいるのは13章のはじめの部分ですが、進化の推進力の1つ「エピジェネティクス」つまり後成的な制御作用に関して書かれています。 このエピジェネティクスを理解するために最も良い例は一卵性双生児の例だそうです。

  一卵性双生児は1つの卵子が分割したため完璧に同じ遺伝子を持つそうです。単純に考えると卵子が2つに分割するとき、 片方に偏在する遺伝子があってもおかしくないと思うのですが、分割した2つの卵子は遺伝学的/医学的に完璧に同じなのだそうです。 この前提でもし1組の一卵性双生児に明らかに解るような違いがあるとすると、それは確実に遺伝子意外の要因によるもの、 と考えられるそうです。

  重要なことは「遺伝子そのものは環境の変化に反応して変わることができない」ことだそうです。放射線などを浴びるなどして遺伝子に 損傷が起きない限り遺伝子配列は不動なのだそうです。だからこそ環境によって変化したとすれば、それはエピジェネティクスな作用、 と言うことだそうです。しかも遺伝をするのだそうです。植物が春の訪れを知るのはエピジェネティクスの作用、つまり後成的な要因に よるものなのだそうです。(放射線の作用は火傷のようなダメージだけでなく、遺伝子を傷つけてしまうことにもあるのだそうです。 今福島で原発の修復作業をされている作業員の方々の文字通り命を張った頑張りに感謝です。)

  本は更に生物学最大の謎について書き進んでいます。それは「たった一つの受精卵から、どうしてこれほどまでに複雑な植物や動物 (そして人類も)が生まれるのか?」です。つまり「胎生発生の謎」だそうです。

  ひと昔前にラマルクの進化論が見直されている、という記事を見たことがあり、直感的にそりゃそうだろう、と感じたことを 今でも覚えていますが、本書を読んでいてそれが「エピジェネティクス」であることがわかりました。いまや、「突然変異」だけでは 進化は説明できないことが明らかになり、エピジェネティクスと呼ばれる後天的な作用で遺伝子が制御されることが発生・進化に大きな 役割を果たしていることがわかってきたようです。本書がはっきりと書き記したのは「獲得形質は遺伝する」と言うことで、証拠がドンドン 集まってきており、遺伝関係の学会で重要な部門になってきた、という現実です。

以上
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11章 異種交配の事実

  この章のポイントは異種交配でした。最初に植物のひまわりで確認され、次いで動物ではヒョウモンドクチョウで確認され、 異種交配が間違いなく生物で存在することが確認されたそうです。 勿論異種交配の結果の新しい遺伝子は存在にメリットがなければそのまま衰退しやがて滅ぶはずですが、今のところ子孫を残している、 と言うことは存在に意味があった、と言うことになります。 異種交配を起こす、と言うことは遺伝子の多様性が増えると言うことです。

  遺伝子の多様性が増えると言うことは、気候など生存条件の大変化があるときに生き残れる種が増える可能性が高まる、 と言うことです。

  7万年前頃のアフリカ大地の大干ばつで人類は絶滅寸前の2000人ほどに減少したため出アフリカを決行し中東に逃れ、欧米の研究者は そこで先住者のネアンデルタール人と亜種間交配し、現代人類の遺伝子の1〜4%はネアンデルタール人由来のものになったと説明しています。 この本の11章を読んでいて、当方のこれまでの妄想・推測を部分的に改める必要がある気がしてきました。

  今までY-DNA「D2」の高確率の無精子症や低精子症、またY-DNA「D」の持つネグリート性はホモサピエンスとホモネアンデルター レンシスの亜種間交配の結果の欠陥、と考えてきたのですが、ネグリート性に関して逆かもしれないと気がつきました。元々人類は 、オーストラロピテクスが現代人から見ればかなり小柄だったように、オリジナルの形態をもっとも残すといわれる(ネアンデルタール 人との交配を経験していない)コイサン族、ピグミー族やホッテントット族などが今でも小柄でネグリートであるように、 本来小柄だったのではないか、それが中東で亜種間交配した結果、大柄な遺伝子を持つようになったのではないだろうか?  ところがY-DNA「D」は小柄な遺伝子はそのまま維持され、精子生成力の欠陥が他の遺伝子タイプより強く遺伝子に書き込まれたのでは ないだろうか?

  ラテン系の女性にも小柄が多いことを見ると地中海系に多いY-DNA「E」も小柄だった可能性が高いですね。つまり中東での ネアンデルタール人との交配の結果「DE」系と「CF」系に分化したのではないか、という妄想ががぜん働きます。

  前のブログでご紹介したアンダマン諸島人の古い写真の2人は有名なブッシュマンのニカウさんに何となく似ていますが、 欧米の研究者はアンダマン諸島人のY-DNA「D*」は出アフリカする前のアフリカ大陸時代の人類に最も近い、と書いている理由が やっとわかってきた気がします。

  古い姿形を残してきたのが我々縄文人のY-DNA「D2」の血統で、小柄で可愛らしい縄文系女性が好まれ選ばれ易いという 高い「自然選択性」によって縄文人の血統は命脈をつないできたのかもしれません。また高い確率の無精子症や低精子症の発生度で、 他の遺伝子タイプより低い人口増加性にも関わらず縄文系が今でも日本民族の35%近くを占めている理由は?
  当方のこれまでの推測は、過去は圧倒的な縄文系の土地だった日本列島に弥生系と漢民族系が押し寄せY-DNA「O」系が持つ高い 人口増加性で人口比を逆転させたと思っていたのですが、どうも逆ではないか!

  某教授の説のように低い人口増加性のために縄文系の人口は少なかったが、低い人口増加性を上回る高い自然選択性によって ここまで比率が増えてきたのかもしれません。目からうろこの11章読後感でしたが、そうなるとY-DNAは維持されなくなってしまうのです。 やはりこの考え方は、無理がありますね。
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8章〜10章 「進化の推進力」は結局5つのファクター

  かなり読みごたえのある内容です。最新の進化論のため100%認められた仮説になっているかどうかはまだちょっと早そうですが、 学問として急速に確立しつつあるようです。

「進化の推進力」は結局5つのファクターが現在考えられているそうです。

1) 突然変異
2) 共生発生
3) 異種交配 (文字通り異なる種の交配で起きるい新たな遺伝子の出現)
4) エピジェネティクス (「後天的な作用で遺伝子の発現が制御されること」だそうです。
これらの4つの進化推進力とダーウィンの

5) 「自然選択」との相互作用で
進化は起こるのだそうです。

  特に異種交配は、「カンブリア爆発」と呼ばれる2000万年前〜4000万年前頃の、現在化石が残っている主要な動物の祖先の大半が 短期間に出現した現象の謎を解明するのは、異種交配ではないかと考えられつつあるようです。つまり動植物学に詳しい方なら聞きなれた、 異なる「門」間の動物の間で異種交配が起きた可能性があるのだそうです。

  このブログの前のバージョンで触れたことがありますが、現在の動物では例えば馬とロバの異種間交配やライオンとトラの 異種間交配の第一世代の子は残念ながら生殖機能が働かず、第二世代が生まれないため子孫を残せず一代限りで途絶えてしまうことが 知られていますが、過去それどころではない「異門」間で交配が起きた可能性があると言われ始めているのです。

  蛇足ですが、当ブログの前バージョンでは、Y-DNA「D2」は無精子症が多いことや精子生成能力の低い理由は、 50000年前頃〜60000年前頃の出アフリカ直後の近東でホモサピエンスとネアンデルタール人の間の亜種間で交配が起こった結果、 遺伝子の欠損が生じたのではないかと妄想しましたが、あながち妄想と笑い飛ばす場合ではないような気がしてきています。
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7章 進化には3つのファクターがあったそうだ。

・自然選択 
  「進化の推進力とは、生物に変化をもたらす力」とのこと。生物が変化し、
  子孫に遺伝をすると初めて進化になるらしい。これは良いことばかりではなく、
  病気を引き起こす原因にもなるそうだです。

・突然変異
  「細胞分裂の際に、DNAのコピーにエラーが生じること」だそうです。
  しかも厄介なことにランダムに起こるそうです。

・共生
  「酸素呼吸細菌が単細胞の真核生物と10億年前頃に融合した」のがミトコンドリ
  ア。今でもmtDNAは細菌と同じ環状です。エネルギー生産を分担しています。
  しかも卵子によってのみ子孫に受け継がれる、と言う特徴があります。
  融合して10億年もたつのに未だに核と一体化しない理由は、「酸素の毒性」に
  ある、つまり活性酸素やフリーラジカルが病気の原因になるからのようです。
  ところが、新しい細胞が生まれ古い細胞と入れ替わり、組織は常に健康を維持
  し続けられますが、その制御に深く関わり合っているとのこと。

  ミトコンドリアは今でも細菌としての性質を10億年も保ち続けているらしい。
  そのためメンデルの法則に従わないミトコンドリア病を引き起こすそうです。
  元々が細菌のため突然変異が起きや易く、エラーが生じ易いことに加え厄介な
  ことに重要なタンパク質の合成に関与しているためさまざまな病気を引き起こ
  す原因になっているそうです。小生がまだ電子顕微鏡の研究者だった若かりし
  時代に筋ジストロフィーのミトコンドリアの構造を見ていましたが、筋細胞中のミ
  トコンドリア内に結晶ができてしまい、筋肉に酸素が供給できなくなるため、
  筋肉の委縮が起きてしまうのですが、当時のことを思い出しました。そう言えば
  当時ミトコンドリアの環状DNAも電子顕微鏡で観察をしていました。懐かしい!

  そして、もう一つ進化でもっと大事なのは「ウイルスとの共生」だそうです。
  先にご紹介した人の遺伝子に組み込まれた内在性レトロウイルスも人の遺伝
  子と融合しているのですが、やはりウイルスとしての性質を維持し続けている
  ため、ミトコンドリア同様さまざまな病気の原因になっているそうです。
  その中で当ブログ「日本民族のガラパゴス性の起源」に関係のありそうな例が
  ありました。男性の不妊症です。

  徳島大学医学部の研究で我が縄文民族の主遺伝子であるY-DNA「D2」は他
  のハプロタイプに比べ男性の無精子症の発症が多く、もしくは精子生成能力
  が劣る、事が解っていますが、男性の不妊症の大きな原因の1つにY染色体
  上の欠損がありますが、雄の生殖器官の機能に内在性レトロウイルスが強く
  関わり合っており、Y染色体が減数分裂し新たなY染色体が出来る際に、先に
  ご紹介したY染色体が持つウイルス由来のHREVの部位で欠損が起こりやす
  いことが解っているそうです。Y-DNA「D2」は残念ながらその欠損が起こる
  確率が高いのでしょう。

  こうしてウイルス由来遺伝子のHREVは何百万年もかけて現代人類の祖先の
  時代から共に進化をしてきたのだそうです。研究者の間ではHREVは統合失調
  症など深刻な精神疾患に関与しているのではないかという見方が拡がっている
  そうです。

  このように紹介するとウイルスは悪いことをしているように感じますが、役に立
  っている作用の方が多いのだそうです。何故なら宿主が弱ってしまうとウイルス
  も困るのだそうです。ところがたまにウイルスの力に負ける人間個体がある、と
  言うのが事実のようです。ウイルスが人類に害を与えずに完全に共生するのは
  もっと時間がかかるのか、あり得ないのか果たして....。
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以上
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6章 現代人の遺伝子の合計46%が過去に感染し共生したウイルスか、ウイルスの残骸

  久しぶりにワクワクするような刺激を受ける本です。翻訳者が優れているためか幸い専門用語が意外に解りやすく書かれているのが 助けになります。これが書籍ではなく論文そのものだったら、難しくて全く理解できないでしょう。

  6章の概要は更に驚くべき内容です。人の遺伝子の3%を占めるDNAトランスポゾン領域ですら過去に感染したDNAウイルスの名残 だそうです。つまり現代人の遺伝子の合計46%がなんと過去に感染したウイルスの共生の結果か、感染したウイルス同士の競争の結果 負けたウイルスの残骸なのだそうです。しかもこのトランスポゾンは名前の「トランス」の示すように遺伝子上で位置が移動できる 可動遺伝子なのだそうです。人類本来の遺伝子ではないのでこんな芸当ができるのだそうです。人類ではたった3%ですが、 トウモロコシの遺伝子では実に50%がDNAトランスポゾンなのだそうです。

  昨日のブログでご紹介した、合計43%を占めるHERV、LINE、SINEはレトロトランスポゾンとも呼ばれるそうです。 つまりRNAウイルスなのです。

  これらのウイルス由来のトランスポゾンはなんと「メンデルの法則」に従いきちんと遺伝をするのだそうです。と言うことは 人の遺伝子そのものに既になっている、と言うことになるのだそうです。 つまり人類が進化する過程で人遺伝子に組み込まれたウイルス由来遺伝子も一緒に進化を遂げてきた、ということらしいのです。 しかしウイルスが果たしてきた役割はまだ現在の遺伝学や生理学では解明できていないそうです。このウイルスの生物の遺伝子との 共生行為を「入植」と呼ぶのだそうです。このウイルスとの融合の大部分は1000万年前にまでに起こっているのだそうですが、 AIDSのような極く最近発生した例もあり、感染時には必ず死に至る個体が発生し、生き残った個体中では共生状態になるのだそうです。

  現在の進化論はダーウィンの進化論を発展させ、「自然選択」+「突然変異」+「共生」なのだそうです。この場合の「共生」は 約10億年前頃に起こったエネルギー生産細菌が原生生物と共生しミトコンドリアや葉緑体になったことではなく、生物と共生することで 存在できるウイルスとの共生のことだそうです。

  ウイルスとは、蛋白質という殻に囲まれた感染能力のある遺伝子体のことですが、どうやら成り立ち自身が単独で生きるものではなく、 他の大きな生物体に共生し、あるいは遺伝子を乗っ取って生きる存在、なのだそうです。その強い作用のため感染時には宿主となる他の 生物体に大きなダメージを与え時には死に至らしめますがその時はウイルスも死にますが、運よく生き残った強い生物体とは共生関係に なり遺伝子に入り込み、その種が続く限りウイルスも生き残れるのだそうです。

  つまりウイルス感染で宿主が死滅することは、ウイルスにとっては本意ではないのだそうです。ウイルス自身が生き残るためには 宿主に生き残ってもらわなければならないのですと。う〜〜ん、厄介な存在ですね。
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始め〜5章 人体を構築するたんぱく質などの情報をつかさどるのは遺伝子のたった1.5%

  今日、進化論に関する新しい書籍を購入しました。タイトルは「破壊する創造者」です、まだ序文を読んでいるところです。

  このブログを始めた時の疑問は、
・Y-DNA、mtDNAは亜型(ハプロタイプ)に分化する必要・必然性があったのか?
・ホモ属はアフリカの中でホモサピエンスに進化をしたのか?
  それとも出アフリカをしたことでホモサピエンスになれたのか?
・アフリカに留まったY-DNA「A」コイサン族やY-DNA「B」ピグミー族などは現代まで同じ経過時間
  あったにもかかわらず狩猟採集のままで、何故出アフリカした人類と同じ変化をしなかったのか?
  もしくはできなかったのか?
・ダーウィンの進化論の真髄である「自然選択」と「突然変異」は何故コイサン族やピグミー族に
  働かなかったのか? 
  それとも今の彼らの姿が働いた結果であって、文明化は進化とは関係ないのだろうか?
・となるとコイサン族やピグミー族は本当にホモサピエンスなのか?現代型のホモエレクトスのまま
  なのではないか?出アフリカしネアンデルタール人と交配分化したY-DNA「C」以降だけが
  ホモサピエンスなのではないのか?


  もともと分子生物学を専攻した身にとって疑問はいっぱいあり、まだ納得できないことだらけです。しかし異なるハプロタイプが 1つの遺伝子型にさかのぼることは、先ず間違いないでしょう。 そうなると理由はともかく結果の分析のほうが優先です。それでこのブログを始めました。

  しかし結果を素直に解釈するためには邪念・妄想を捨てて頭をリラックスさせることが必要なので、ダーウィン以来の進歩した 最新の進化論を読んで、ハプロタイプの分化の理由が多少納得できれば....と言う次第です。

  生物進化学の最も新しい学説を書いた「破壊する創造者」をやっと読み初めたころ、東北関東大震災が発生しあまりの惨状に 当ブログもお休みし、読書もお休みしていました。大震災の大惨状に原発大問題が加わり、更に三陸沿岸に立地していた 原材料・部品工場が軒並み壊滅で、世界を巻き込んだ部品欠品問題まで発生し、日本のみの問題では済まなくなってきました。 改めてガラパゴス日本民族の世界に占める存在感を実感させられています。

  小生は終戦直後の生まれのため、戦争そのものは知りませんが、子供のころの貧しさから世界経済・科学の牽引国家にのし上がった 日本国民を見てきました。極く近い将来復興し、再度世界を牽引できると信じています。日本民族はだてにガラパゴスではないんです。 定年後の身ですがなんとか頑張らねば!

  現状は悪化する一途ですが、自粛ばかりでは日本の復興が遅れるのも事実です。という訳で報道番組の視聴漬けを自粛し、 読書を再開しやっと5章(全15章)まできました。ここまでの内容をかいつまんで報告します。大学時代いわゆる分子生物学の はしりのようなもの生物物理化学を専攻しましたが、その後40年間の間に分子生物関連の学問は大きく進歩し、ついこのあいだ 人間の遺伝子配列が全て解読されました。これはノーベル賞級の画期的なことなのですが、研究者と興味がある者以外には全く 話題になっていません。その理由が本書にも書いてあります。

  要するに生命体としての遺伝子構造が全て解読されたからと言っても、思考・感情を持つ生身の人間のことは全く解読されて いないのです。何故人間はここまで進化したのか、なぜ人種があるのか、何故戦争するのか、何故喜び、憎むなど「感情」を持つのか、 どうして一人ひとり行動が違うのか?.....人間が人間として存在している理由が何も解析できていないからだそうです。 その大きな理由が人遺伝子の構造解析の結果の呆れた事実にも起因するのだそうです。



  なんと人間の体を構築するたんぱく質などの情報をつかさどるのは遺伝子のたった1.5%(機能遺伝子)でしかない....という 信じられない事実。じゃぁあとの98.5%は何のために存在するのか?

・HREV 9% 人間が過去に感染したウイルスの名残で、人内在性レトロウイルスだそうです。
・LINE 21% 人間と過去から共生してきたウイルスらしい。
・SINE 13% 人間と過去から共生してきたウイルスらしい。
・DNAトランスポゾン 5章までではまだ説明されていません。
・不明   52.5%  5章までではまだ説明されていません。

  これって何?43%がウイルス由来の遺伝子?人間の遺伝子のはずなのにウイルス由来の遺伝子の方がはるかに多いとは本当?  人類はウイルス遺伝子の固まりってこと?  にわかに納得はできませんが結果と言う事実は上記のとおりだそうです。しかし、由来は推測出来ても、何故?何のために?どうやって? ....などまだクリアにはなっていないようですが、ともかく43%の部分は明らかにウイルスの遺伝子と同じなのだそうです。

  細胞でエネルギーを生産するミトコンドリア(植物では葉緑体)は古代に寄生した細菌が生体と共存し共生した結果ということは 既に小生が学生のころから言われており、今では生物学の常識になっているので、「共生」という言葉自体は理解できますが、 何故ウイルスなの?

  さらに人間の遺伝子の半分以上が”役割不明”だそうです。恐らくこの「不明」は生物体としての構造を作るところではないのでは ないでしょうか!人間は他の生物に比べ感情/思考/行動/運動能力など全てが複雑怪奇ですが、そういうよくわからないものを つかさどるところが「不明」領域だったら面白いですね。ここはもう分子遺伝学者の領域ではないような気がします。

5章までのストーリーは、

・生物とレトロウイルスやウイルスは共生し進化を遂げてきた。
・人間も例外ではなく、遺伝子構造解析の結果が証明した。
というところです。

  ちなみに「レトロウイルス」とは、レトロな古〜いウイルス、という意味ではなく、DNA(核酸)ではなくRNA(リボ核酸)を遺伝子として持ち、生物体に入り込むと 「逆転写酵素」を使いDNAを生成し、共生先の生物の核に、自身の遺伝情報を埋め込むのですが、その「逆」を「rettro=レトロ」と言うのだそうです。レトロウイルスが感染した生物は 当初はダメージを受けかなりの個体が死に至りますが、レトロウイルスと共生に成功した個体が生き残り、繁栄するのだそうです。現在最も話題になっているのはオーストラリア大陸東海岸での コアラに対する齧(げっ)歯類由来のコアラレトロウイルスの感染例だそうです。

  人間ではHIV-1型と呼ばれるレトロウイルス感染つまりAIDSが最も最近の例だそうです。当初は死に至る個体が多数発生しますが、いづれ共生状態になるだろう、と考えられているようです。 あまりうれしくはないですが...。

  日本人ではウイルス学者の日沼頼夫先生が成人T細胞白血病(ATL)の原因はレトロウイルスHTLV-1と突き止めた事は有名です。

以上
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15-25. . 進化に対する内在性レトロウイルスの働きがわかりつつある!

  当ガラパゴス史観が参考本としている最新進化学の「破壊する創造者」の骨子は「内在性レトロウイルス」が進化の要因でもあった、というものです。 興味のある方は当ホームページの記事13-1.を読んでください。

  Nature Japanの日本語版に京都大学の論文が掲載され、太古に感染したレトロウイルスが、胎盤の多様性の原動力だった!という非常に興味深い内容でした。 このことはレトロウイルスが種の違い・進化の要因になっていることを示しています。  「破壊する創造者」の伝える最新進化学はここ日本でも進められていたのです。

  Nature Japanの9月12日の特集記事をご紹介します。
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  太古に感染したレトロウイルスが、胎盤の多様性の原動力だった!

  2013年9月12日

  京都大学 ウイルス研究所 細胞生物学部門
  宮沢孝幸 准教授

  哺乳類の胎児の多くは、胎盤によって育まれる。胎盤は、母親と胎児の両方の組織からなり、子宮内で胎児を支える役目を担うほか、互いの血液を混合させることなく栄養、 ホルモン、ガスなどを交換するという、極めて重要な機能を果たす。一方で、胎盤の形状や構造は動物種によって大きく異なり、その違いがどのようにしてもたらされたのかは、 謎のままにある。このほど、京都大学 ウイルス研究所の宮沢 孝幸 准教授らは、ウシの胎盤に見られる現象に着目し、胎盤の進化にレトロウイルスが関与していたことを突き止めた。

  ウシ科の動物は、ウシ亜科、ヤギ亜科、インパラ亜科など、7つに分けられる。いずれの亜科も約100個の小さな胎盤節からなる「多胎盤」を形成するが、その際、ウシ亜科とヤギ亜科だけに 「胎児側の細胞と母体側の細胞が融合する特殊な現象」が見られるという。こうした母子細胞の融合はかなり以前から知られていたが、分子メカニズムは分かっていなかった。

  BERV-K1由来のFematrin-1による、ウシ三核細胞の形成過程

  宮沢准教授は、学部生時代にレトロウイルスの研究を始め、その過程で「ヒト内在性レトロウイルス」がレトロトランスポゾンとして機能し、胎盤で発現していることを知ったという。 内在性レトロウイルスとは、太古に感染したレトロウイルスが「感染先の動物(宿主)の生殖細胞」に入り込み、ゲノムの一部と化したDNA配列を指す。一方のトランスポゾンは、 ゲノム中において、自身のDNAの一部から転写されたRNA配列を逆転写してDNAに戻し、それを別の領域に挿入する転移因子の総称だ。「はるか昔に人類に感染したレトロウイルスの 遺伝子がヒトゲノムに取り込まれ、遺伝子として胎盤で何らかの機能を持つようになったのではないか。当時から、そんなふうに考えていました」と宮沢准教授。

  「その後、内在性レトロウイルスと胎盤との関係を調べてみたいと思いつつ、ずいぶん時間が経ってしまいました」。そう話す宮沢准教授はイリギス留学などを経て、 2005年に現職に就いたのを機に「内在性レトロウイルスが、ウシの胎盤でみられる母子の細胞融合と関与するのではないか」との仮説を立て、本格的な研究に乗り出した。

  まず、ウシの内在性レトロウイルス(BERV-K1)が、ウシの胎盤や栄養膜細胞を株化した細胞において発現していることを確かめた。そのうえで、BERV-K1遺伝子の一部が、 胎盤の栄養膜にある特定の細胞(二核細胞と三核細胞)にだけに発現していることを、複数の手法を用いて突き止めた。栄養膜の二核細胞は胎児側の細胞で、この細胞が母体側の 子宮内膜細胞と1対1で融合すると三核細胞(TNC)になるという。

  「次に、細胞融合能を持たないモデル細胞(アフリカミドリザル由来のCOS細胞)に、BERV-K1のエンベロープタンパク質を強制発現させ、ウシの子宮内膜細胞と共培養してみました。 BERV-K1が母子細胞融合の鍵を握るとしたら、エンベロープタンパク質が機能することで、細胞どうしが融合すると考えたからです」と宮沢准教授。

  エンベロープタンパク質とは、ウイルスの膜(殻)に刺さっているタンパク質のこと。このタンパク質が宿主細胞の膜にある受容体と結合すると、ウイルスと宿主の細胞膜が融合し、 ウイルスゲノムが宿主細胞内に入れるようになる。宿主細胞内ではウイルスのゲノムやタンパク質が大量にコピーされ、ひとそろいが宿主細胞の膜をかぶって飛び出すと、 子ウイルスの誕生(すなわち、感染の成立)となる。

  実験結果は、宮沢准教授の予想どおりだった。細胞どうしが1対1で接触し、接触点において互いの細胞膜が融合。2つの核を持つ、単一の細胞へと変化したのだ。 「融合過程を観察するだけでなく、融合活性の定量的な判定も行いました。そして、BERV-K1のエンベロープタンパク質が細胞融合の鍵であるとの結論に至り、 このタンパク質をFematrin-1と命名しました」と宮沢准教授。

  さらに、宮沢准教授らは、ウシのBERV-K1がFAT2という遺伝子のイントロンに入り込んでいることも突き止め、同じようにBERV-K1をFAT2のイントロン内に持つ亜科がいるかどうかを調べた。 「ウシ亜科のみに見られ、ヤギやヒツジなどのヤギ亜科には見られませんでした。2つの亜科は約2000万年前に分かれたことがわかっているので、その直後に、BERV-K1がウシ亜科に感染して 入り込んだと推測できます」。

  一連の結果は、BERV-K1の感染が、ウシ亜科とヤギ亜科に胎盤の違いをもたらす大きな原動力になったことを示唆している。「おそらく、大昔に感染したレトロウイルスの種類が、 動物種の胎盤の違いをもたらしてきたのでしょう」。そう話す宮沢准教授は、遺伝子がレトロウイルスによって他の動物種に伝わることがあるのか、あるとしたらどのようなメカニズムに よるのかといったことも検討し、生命進化とウイルスとの関わりを解き明かすべく、努力を続けている。

  西村尚子
  サイエンスライター
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  当ガラパゴス史観を構築するための3要素は表紙に書きましたが、

  ●Globalで報告されているY-DNA、mtDNAの国別,民族別,部族別の頻度調査データ解析結果、
  ●最新の進化学で報告されている「進化」の知見、
    「進化」は、推進力となる4つのファクター
     (1) 突然変異、
     (2) 共生(内在性レトロウイルスとの)、
     (3) 異種交配、そして
     (4) エピジェネティクス(後天的獲得形質)と、
    ダーウィンの
     (5) 自然選択
    との相互作用で起る、と説明されている。
  ●分子生物学研究者時代に実験データ解析の手法として身に付けたデータマイニング手法

  以上の解析結果・知見・手法の3要素である。

  当ガラパゴス史観の構築した、現代人つまりホモ・サピエンス・サピエンスの進化は、

  ・収縮しつつあった森林の、樹上での縄張り争いに負けて樹上から追い出されたか、もしくは草原で狩りをする捕食者達に触発され食糧確保のため自発的に樹から降りたか、もしくは両方か、 ともかく草原に降り立ったこと。

  ・木の実食から肉食に変わり、脳が大きく進化したこと。

  ・サハラの砂漠化により2000人程度の絶滅危惧種となり、先輩人類(原人、旧人達)と同様出アフリカを決行したこと。

  ・出アフリカ後の中東〜インド亜大陸で未知のレトロウイルスに感染したことや、旧人との亜種間交配で遺伝子の一部や旧人が感染していた内在性レトロウイルスも受け継いだことが、 Y-DNAとmtDNAの分化を引き起こしたこと。

  ・行く先々で土地々々の新しいレトロウイルスに感染したこと。

  が遺伝子分化を引き起こし、アフリカに留まった非出アフリカ人とは全く異なる進化をたどり、近代・現代文化を構築するまでに至った、というものです。」

  出アフリカに加わらなかった他のホモ・サピエンス・サピエンス(Y-DNA「A」と「B」及び「L3」以外のmtDNA「L」)はアフリカの草原地帯や森林地多で狩猟採集段階でそれ以上の進化を止め、 原始状態にとどまり今に至っています。

  後代、出アフリカからアフリカに出戻ったY-DNA「E」が「A」や「B」と交配したおかげで、「E」と共存した「A」と「B」は「E」と同じ段階に進みましたが、その「E」もアフリカに戻ったことで それ以上の進化を止めてしまいました。

  Y-DNA「E」で地中海北岸に進みY-DNA「I」、「J」「R」などと交配し一体化した集団のみが文明化し近代・現代文化の恩恵を受けています。

  古代遺伝子Y-DNA「E」はアフリカ草原地帯の原始の狩猟採集から最先端の現代文化まで最も幅広い変異幅を持つ遺伝子なのです。

  Y-DNA「E」が戻りアフリカ後それ以上の進化をしなかった理由は、故地に戻ったため新しいレトロウイルスに出会わなかったことにある、と考えられます。熱いことも理由のひとつでしょうが。

以上
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30-34. ヒトのDNAの8%はウイルスの遺伝子−新聞記事

 2019年1月14日の朝日新聞に内在性レトロウイルスを説明した新聞記事が掲載されました。
 ボーっと無関心に生きている昨今の日本人にはかなり挑戦的な記事です。目もくれない読者がほとんどでしょうが、 内在性レトロウイルスに関する強い関心を持つ当ガラパゴス史観にとっては好都合の記事なのでご紹介します。
 この記事はそもそもなぜ内在性になったか、と言う説明記事なので、ガラパゴス史観のテーマには大き過ぎます。
 現在、現代人の分化に関する絶対的な指標としてY-DNA分析があり、それを補充するものとしてmtDNA分析があります。 この2種のDNA分析を組み合わせると、人種や種族、部族の成り立ちや過去の移動や集散の歴史が追えるようになるのですが、 残念ながらY-DNAとmtDNAは独立して研究発表された論文しかなく、亜型を組み合わせて報告された論文はまだありません。 当方が生きているうちに研究報告がなされると面白くなるのですが。
 今回の内在性レトロウイルスも詳細な分析がなされると、部族や種族の過去の移動経路がかなり追うことができるのではないかと 期待できます。移動した先で感染したその地域特有のウイルスが分類できれば、日本人を構成する日本列島に過去たどり着いた 集団がどこからやって来たか、Y-DNA/mtDNA遺伝子解析に更にレトロウイルスの型(例えばATLやHIVのような)を加えることで かなり詳細に過去を追えるのではないかと推測できます。学際的な研究調査が行われることを期待しましょう。

それでは内在性レトロウイルスを優しく解説した新聞記事をご紹介します。
 

  
以上
表紙に戻る
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