14-12. 初期の人間は自分自身を家畜化した、新しい遺伝的証拠が示唆している

  2019年12月5日のScienceに、初期の人間は自分自身を家畜化した.....という耳新しい記事が載っていました。
自分自身で家畜化するとはどういうことだろうか?興味があり読んでみました。久しぶりのScienceの記事です。 この分野では、現代人類は自己家畜化されている、というのは共通の認識のようです。 ただし、その原因・要因はまだ結論が出ていないようです。本記事はその一つの原因遺伝子を発見したと言うものです。

記事:Early humans domesticated themselves, new genetic evidence suggests
   初期の人間は自分自身を家畜化した、新しい遺伝的証拠が示唆している
   by Michael Price Dec.4,2019,5:00PM, Science
出典として取り上げられていたオリジナルのScienceの論文は、
論文:Dosage analysis of the 7q11.23 Williams region identifies BAZ1B as a
   major human gene patterning the modern human face and underlying
   self-domestication
   77q11.23ウィリアムズ領域の投与量解析により、BAZ1Bは現代の人間の顔と
   その基礎となる自己家畜化をパターン化する主要なヒト遺伝子であることが特
   定されました
   by Matteo Zanella et al, Vol.5,no.12, eaaw7908, DOI: 10.1126/
   sciadv.aaw7908 です。ご参考に!

  人類が自身の家畜化を始めたのは、80-100万年前頃に草創期のネアンデルタール人(旧ホモハイデルベルゲンシス)が ホモエレクトス(原人)から進化し、60万年前頃の早期のネアンデルタール人から草創期のホモサピエンスがアフリカで分化・誕生してから、 家畜化が始まったということなのだそうです。
  それまでの古人類はせいぜい家族単位で行動し、グループ・集団で行動・居住することはおそらくなかったようなのですが、 (哺乳類は基本的には群れではなく家族単位で、種によってはオスは子供ができると自分の遺伝子を広く数多く残すために、 家族から離れ別のメスを探し新しい家族を作る繰り返しの種もあると、先日のNHKで紹介していました。 このような種はオスが成獣になると相手探しの旅に出るのが普通なのだそうです。
  しかしニホンザルは群れで行動していますし、バイソンの集団移動も有名ですが、 いずれにせよ、哺乳類の基本は家族単位の社会で、集団社会を構築するのは少ないようです。
  また記事「15-1. アウストラロピテクス(猿人)の行動で解明された民族を越えて移動するmtDNA」でご紹介したように、 猿人(アウストラロピテクス)は女性のほうが相手を探して旅に出る、フーテンの寅子さんだったことが調査で報告されています。

  ネアンデルタール人もデニソワ人も遺跡の状況から見ると家族単位社会だったらしいのですが、 ホモサピエンスは何故かグループ・集団社会を形成するタイプの人類に進化(もしくは退化?)したらしい華奢型のホモ種です。 ネアンデルタール人は頑健型ホモ種です。もしかすると華奢型は骨の遺伝子発現障害だった可能性もありますね。 体格に関しては、どう見ても頑丈型のほうが自然選択にはより強いと思われるので、 実は進化したのではなく、退化したのではないかとも考えられます。
  ともあれ、現生人類はダーウィンの自然選択理論上、生き残るには不利な力の弱い「華奢型に突然変異」してしまったため、 アフリカ台地を生き抜くためには、家族単位よりも集団で身を守りながら狩猟採集を行うしかなかったのではないかと思われます。 その結果が、逆に良いほうに働き、集団社会のほうが自然選択に勝ち残ったと考えるのが合理的でしょう。
  本サイトの記事「13-4.想像するちから」の松沢教授が述べておられるように、人類は集団で行動するように進化したことで、 役割分担が生まれ、それぞれの役割をもれなく迅速に情報伝達する必要が極めて重要になり、 会話能力が著しく発達し語彙も豊富になったらしいのです。「ひ弱」という欠点を集団の力で補ったことが、 家族単位だったらしい、ネアンデルタール人より圧倒的に人口増加率を高められ、主役の交代が起こったと考えられます。
  どうやら、この華奢でひ弱な身体を補うために集団社会を形成してきたことを「自己家畜化」と呼ぶらしいです。

  その自己家畜化は、遺伝子の突然変異が一番の原因ではないかと言う論文の内容なのです。

  ネアンデルタール度やデニソワ度が高い民族・部族や個体は個人を中心にした思考・行動様式を好み、 ホモサピエンス度が高い民族・部族や個体は、集団を形成して思考・行動することを好む、ということなのかもしれません。
  ということは個が大事な西欧社会は実は進化が遅れた旧人類の遺伝子が色濃く残り、 日本人が集団の中にいると安堵して生活できるのは水田農耕稲作民族の弥生人の特徴だと思っていたのですが、 自己家畜化された新人類特有の集団社会だからこそ農耕社会が形成できたのではないか、 世界で農耕が発達したのは、中東のメソポタミア文明(チグリス・ユーフラテス川流域)と揚子江流域の長江文明に たまたまホモサピエンス度の高い人類集団社会ができたからこそなのでしょう。

  どうやら、長江流域の水田稲作農耕民にホモサピエンス度が高いメンバーが多く存在していたため、 結果として集団行動を好む民族に昇華されていったと考えるほうが良いのかもしれません。
  長江文明系が好戦的な黄河文明系に敗れ南北に駆逐された時に長江文明系は集団で移動し、南に逃げた越の集団は ヴェトナムからインドシナを西に移動しさらにインド亜大陸に農耕適地を求めドラヴィダ民族の一部を形成しています。 一方北に逃げた呉の集団は満州付近まで北上し、稲作農耕適地を求め朝鮮半島を南下し、日本列島に入ったようです。 いずれにしても「集団を好み集団のまま移動する」行動様式が、行きついた土地ですぐ定着できる理由だったのかもしれません。

     一方、日本人にも、集団や組織の中で行動するより海洋型や大陸型のチマチマしていない壮大な行動様式を好む人もかなりいますが、 ネアンデルタール度が高い/自己家畜化度が低い個と考えると納得ができます。

  このことは重要な視点です。記事にもありますが、人類は自己家畜化した過程で、 平和な集団社会の形成を邪魔する「ボスになりたがる遺伝子」や、 現代でもそこいらじゅうに存在する「いじめっ子体質の遺伝子」を排除してきたはずのようなのです。 家畜化が成功していれば、いじめっ子も存在せず、暴力的やハラスメント体質の人間も存在しないはずなのですが....。
  実際は、ホモサピエンスはネアンデルタール人から分化して誕生し、出アフリカ後のユーラシア大陸各地で 先住の親族ネアンデルタール人と交雑してきたようなので、「」には自己家畜化完成前の遺伝子がかなり残っており それが、場面によっては現代人類にとって好ましくない体質が顔を出すのではないかと思われます。
  他の記事でも書きましたが、当ガラパゴス史観は、かなりのネアンデルタール体質(体格も含め)を保持しています。 ボスには全く興味はなく、暴力やハラスメントも嫌いで、集団行動も得意でホモサピエンス度はかなり高いと 思っているのですが、会社員時代も長いものにあまり忖度せず、御用学者的論法が大嫌いで、他人の考えに迎合せず/流されず 自分の考えを持つことを重要と考え(だからこんなホームページで発信を続けています)、 やや怒りっぽく、理性的より感性的であることなどネアンデルタール度も十分あると自負しています。

それでは、この記事の原文と下手な和訳をご紹介します。
================================================ 初期の人間は自分自身を家畜化した、新しい遺伝的証拠が示唆している

  人間が犬、猫、羊、牛を飼い始めたとき、人間は完全に異なる動物に対してもその飼いならすという伝統を継続したかもせん、 その異なる動物とはすなわち人間自身です。何らかの方法で家畜化の要素を反映する障害からの遺伝的証拠を引用する新しい研究は、 現代人類が絶滅した親族であるネアンデルタール人とデニソワ人から約60万年前に分裂した後、家畜化されたと示唆しています。
  「この研究は非常に印象的です」とハーバード大学の生物人類学者で、新しい研究に関与していなかったリチャード・ランガムは言います。 彼は、人間が飼い慣らされたからこそ、霊長類の祖先とは見た目が違うという長年の考えの「本当に美しいテスト」だと付け加えました。
  家畜化は、種がより友好的で攻撃的でないように育てられるときに生じる遺伝的変化の全体を網羅します。たとえば、 犬と飼いならされたキツネでは、多くの変化が物理的です:小さい歯と??頭蓋骨、ゆるい耳、より短く、よりカールした尾。 これらの物理的変化はすべて、飼いならされた動物の神経堤幹細胞と呼ばれる特定のタイプの幹細胞が少ないという事実に関連しています。
  現代の人間は、私たちの先祖の多くよりも攻撃的でなく、協力的です。 また、私たちも大きな身体的変化を示しています。 脳は大きくても、頭蓋骨は小さく、眉の尾根はあまり目立ちません。 そうです、それでは私たちは自分達自身を飼いならしたと言うことなのでしょうか?
  イタリアのミラノ大学の分子生物学者であるジュゼッペテスタと同僚は、1つの遺伝子BAZ1Bが神経堤細胞の運動の調整に 重要な役割を果たすことを知っていました。 ほとんどの人はこの遺伝子の2つのコピーを持っています。 不思議なことに、BAZ1Bのコピーの1つは他の一掴みと一緒に、ウィリアムズ症候群で、認知機能障害、 小さな頭蓋骨、エルフィンのような顔の特徴、および極端な陽気さ等に関連する障害のある人では失われています。
  BAZ1Bがこれらの顔の特徴に関与しているかどうかを知るために、Testaと同僚は11の神経堤幹細胞株を培養しました: ウィリアムズ症候群の人から4つ、異なるが関連する障害を持つ人々から3つ、障害の主要な遺伝子、 およびいずれかの障害のない人からの4つ。次に、さまざまな手法を使用して、各幹細胞株でBAZ1Bの活性を高低に調整しました。
 彼らは、この微調整が、顔面および頭蓋の発達に関与することが知られている他の数百の遺伝子に影響を及ぼしたと彼らは学びました。 全体的に、彼らは、突き固められたBAZ1B遺伝子がウィリアムズ症候群の人々の独特の顔の特徴につながり、 この遺伝子が顔の外観の重要なドライバーであることを発見しました。
  研究者が現代人、2人のネアンデルタール人、1人のデニソワ人の数百のBAZ1B感受性遺伝子を調べたとき、 彼らは現代人では、それらの遺伝子が独自の調節変異の負荷を蓄積していることを発見した。 これは、自然選択がそれらを形作っていることを示唆しています。また、 これらの同じ遺伝子の多くは、他の家畜、現代の人間でも選択されているため、人間は最近の家畜化のプロセスを受けた、 とチームは本日Science Advancesで報告しています。
  ランガムは、多くの異なる遺伝子が家畜化に関与している可能性が高いと警告しているため、 BAZ1Bに進化の重要性をあまり読みすぎてはならない。 「彼らが照準を合わせたのは、非常に重要な遺伝子の1つですが、他の候補遺伝子が複数存在することは明らかです。」
ウィーン大学の進化生物学者および認知科学者であるウィリアム・ティカムセ・フィッチIII世は、 人間の自己家畜化と動物の家畜化の「正確な類似点」に懐疑的であると言います。 「これらは類似点と相違点の両方を備えたプロセスです」と彼は言います。 「また、1つまたはいくつかの遺伝子の突然変異が、家畜化に関与する多くの多くの遺伝子の良いモデルになるとは思いません。」
そもそも人間が家畜化された理由については、仮説がたくさんあります。ランガムは、初期の人類が共同体を形成したとき、 進化の圧力が、より「アルファ:集団を支配する人間」ではなく または「攻撃的ではない特徴を持つ仲間」を好んだという考えを支持しています。 「いじめっ子と攻撃性を支持する遺伝子に対して、初めて積極的な選択が行われました」と彼は付け加えます。 しかし、これまでのところ、「人間はこれを管理している唯一の種です。」

================================================ Early humans domesticated themselves, new genetic evidence suggests

When humans started to tame?dogs, cats, sheep, and cattle, they may have continued a tradition that started with a completely different animal: us. A new study?citing genetic evidence from a disorder that in some ways mirrors elements of domestication?suggests modern humans domesticated themselves after they split from their extinct relatives, Neanderthals and Denisovans, approximately 600,000 years ago.
“The study is incredibly impressive,” says Richard Wrangham, a biological anthropologist at Harvard University who was not involved in the new work. It’s “a really beautiful test,” he adds, of the long-standing idea that humans look so different from our primate ancestors precisely because we have become domesticated. Domestication encompasses a whole suite of genetic changes that arise as a species is bred to be friendlier and less aggressive. In dogs and domesticated foxes, for example, many changes are physical: smaller teeth and skulls, floppy ears, and shorter, curlier tails. Those physical changes have all been linked to the fact that domesticated animals have fewer of a certain type of stem cell, called neural crest stem cells.
Modern humans are also less aggressive and more cooperative than many of our ancestors. And we, too, exhibit a significant physical change: Though our brains are big, our skulls are smaller, and our brow ridges are less pronounced. So, did we domesticate ourselves?
Giuseppe Testa, a molecular biologist at University of Milan in Italy, and colleagues knew that one gene, BAZ1B, plays an important role in orchestrating the movements of neural crest cells. Most people have two copies of this gene. Curiously, one copy of BAZ1B, along with a handful of others, is missing in people with Williams-Beuren syndrome, a disorder linked to cognitive impairments, smaller skulls, elfinlike facial features, and extreme friendliness.
To learn whether BAZ1B plays a role in those facial features, Testa and colleagues cultured 11 neural crest stem cell lines: four from people with Williams-Beuren syndrome,? three from people with a different but related disorder in which they have duplicates instead of deletions of the disorder’s key genes,?and four from people without either disorder. Next, they used a variety of techniques to tweak BAZ1B’s activity up or down in each of the stem cell lines.
That tweaking, they learned, affected hundreds of other genes known to be involved in facial and cranial development. Overall, they found that a tamped-down BAZ1B gene led to the distinct facial features of people with Williams-Beuren syndrome, establishing the gene as an important driver of facial appearance.
When the researchers looked at those hundreds of BAZ1B-sensitive genes in modern humans, two Neanderthals, and one Denisovan, they found that in the modern humans, those genes?had accumulated loads of regulatory mutations of their own. This suggests natural selection was shaping them. And because many of these same genes have also been under selection in other domesticated animals, modern humans, too, underwent a recent process of domestication, the team reports today in Science Advances.
Wrangham cautions that many different genes likely play a role in domestication, so we shouldn’t read too much evolutionary importance into?BAZ1B. “What they’ve zeroed in on is one gene that is incredibly important … but it’s clear there are going to be multiple other candidate genes.”
William Tecumseh Fitch III, an evolutionary biologist and cognitive scientist at the University of Vienna, says he is skeptical of “precise parallels” between human self-domestication and animal domestication. "These are processes with both similarities and differences,” he says. “I also don’t think mutations in one or a few genes will ever make a good model for the many, many genes involved in domestication.”
As for why humans might have become domesticated in the first place, hypotheses abound. Wrangham favors the idea that as early people formed cooperative societies, evolutionary pressures favored mates whose features were less “alpha,” or aggressive. “There was active selection, for the very first time, against the bullies and the genes that favored their aggression,” he adds. But so far, “Humans are the only species that have managed this.”
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このテーマをもっと知りたい方は前述のScienceの論文をぜひお読みください。難解ですが読みごたえはあります。

以上

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