14-9. デニソワ人の新しい研究論文が発表されました。

  ドイツのマックスプランク研究所のデニソワ人プロジェクトチームからゲノムの解析結果が発表されました。ScienceのSummaryとBioquickニュースの概要をご紹介します。
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A High-Coverage Genome Sequence from an Archaic Denisovan Individual

Science Published Online August 30 2012

Department of Evolutionary Genetics, Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology, D-04103 Leipzig, Germany.

Matthias Meyer 他33名

Researchers have sequenced the genome of an archaic Siberian girl 31 times over, using a new method that amplifies single strands of DNA. As the team reports online in Science this week, more than 99% of the nucleotides are sequenced at least 10 times, so researchers have as sharp a picture of this ancient genome as of a living person's. That precision allows the team to compare the nuclear genome of this girl, who lived in Siberia's Denisova Cave more than 50,000 years ago, directly to the genomes of living people, producing a "near-complete" catalog of the small number of genetic changes that make us different from the Denisovans, who were close relatives of Neandertals.
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  Bioquickニュースの紹介記事です。

  ドイツ・ライプチヒにあるマックスプランク進化人類学研究所のスバンテ・パーボ博士に率られる研究チームが、デニソバ人のゲノム変異の解析を行い、それが極めて低いことを明らかにした。 これは即ち、デニソバ人が今ではアジア全体に広く分布しているにしても、昔はそれほど人口が多くなかった事を示唆している。

  更には、ゲノムの総目録から明らかなのは、遺伝子の変異は古代の祖先の時代ではなく現代人の世代に見受けられる事である。 これらの変異の状況から推察されることは、それが脳機能や神経システムの発達に関係しているのではないかという事である。 2010年にパーボ博士と研究チームは、南シベリアのデニソバ洞窟から発見された指骨の欠片からDNAを単離して解析した。 それは、それまで知られていなかった古代人の若い女性の骨である事が解り、「デニソバ人」と名付けられた。 DNAの2重螺旋を容易に解く技術が開発されたおかげで、それぞれの2本をシーケンス解析に使用し、デニソバ人のゲノムを全箇所に渡って30回以上繰返しシーケンシングする事が出来た。 これによって、解析されたゲノムシーケンスの正確さは、現代人のゲノムを解析する場合の精度と同等の品質のものが得られた。

  サイエンス誌2012年8月30日付けオンライン版に発表された最新の研究では、パーボ博士と研究チームは、デニソバ人のゲノムを、ネアンデルタール人及び世界各地から得た現代人11人のゲノムと比較検討した。 その結果、前報にあるように、現在東南アジアの島々に住む人たちとデニソバ人のゲノムがどのように混合されたのかが再確認された。 また、ヨーロッパ人と比較して、東アジアや南アメリカに住む人たちの方が、ネアンデルタール人のゲノムを若干多く含んでいることも明らかにされた。 「東アジア地域で観察されるゲノムが、デニソバ人よりネアンデルタール人により近いという事は、古代のネアンデルタール人の人口は、ヨーロッパよりアジアの方が多かったと推測される。」 と論文では述べられている。

  「これは絶滅種族のゲノム情報を極めて高い精度で解析した結果です。ほとんどのゲノムは染色体2対の違いさえも解析が出来、デニソバ人の若い女性についても、両親から受け継いだ夫々について解析出来ました。」 と本研究の筆頭著者であるマシアス・メイヤー博士は語る。つまり、この技術によって、当時のデニソバ人のゲノム変異の発生頻度は、現代人に受け継がれてからよりも低いことが解ったのだ。 これを基に推定できることは、デニソバ人は当初は人口が少なかったが、その後、短期間のうちにより広い地域に広がったという事である。 「今後、ネアンデルタール人の人口推移も同じような経緯を辿った事が明らかになれば、アフリカから発祥した単一集団が、デニソバ人とネアンデルタール人とに分かれていったと推察されます。」 と本研究を率いるパーボ博士は語る。

  研究チームは更に、デニソバ人から分かれた現代人に起こった比較的最近のゲノム変異が、10万個程度ある事を明らかにしている。 そして、その変異のいくつかは、脳機能と神経システムの発達に関与するものである事も解っている。その他の変異で注目されるのは、皮膚や目や歯などの形態に関与するものである。 「本研究によって、古代の人類は結果として人口が減ったり絶滅したりした一方で、現代人がどのように複雑な文化的多様性を保ちながら急速に人口を増やしてきたのかを明らかにする道が開けたと思います。」 とパーボ博士は語る。

  今年の初め、ライプチヒの研究チームは、デニソバ人の全ゲノムシーケンスを世界の研究者に、オンラインで公開した。 デニソバ人の指の骨がロシアアカデミーのアナトリー・デレビアンコ氏とミカイル・シュンコフ氏によって発見されたのは、彼らがデニソバ洞窟を掘削している2008年の事であり、 考古学的発掘調査によって、人類が生活していたのは遺跡の地層から、凡そ28万年前からである事が確認された。指の骨は、その発見された地層の年代から、5万年前から3万年前位であると推定される。
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  この結果は当ガラパゴス史観が推測したデニソワ人はネアンデルタール人の極東ローカル型だ、という推測を支持しました。

  東アジアと南アメリカに住む部族の方がネアンデルタール人のゲノムを若干多く含んでいる、という結果は予想外でした。 中東でネアンデルタール人と遭遇したホモサピエンスは遺伝子を受け継ぐほどの交配を重ね、見た目の形質的な影響が大きかった(彫が深いいかつい風貌、赤毛。金髪・碧眼等)Y-DNA「CF」と 見た目の影響が少なかった(ジャガイモ顔を維持した)Y-DNA「DE」に分化した訳ですが、当然「CF」に属する彫の深いヨーロッパ人の方がネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子比率は高いと思っていました。 (先に書きましたが、Y-DNA「D2」に無精子症や乏精子症の比率が高いのは、ネアンデルタール人との亜種間交配の負の遺産と考えられます。)

  東アジアと南アメリカの遺伝子はY-DNA「M」,「N」,「O」,「S」と「Q」です。いずれもY-DNA「K」から分化した亜型になります。 「R」のみがアーリア人の遺伝子となり西進しヨーロッパ人の主力となり、南下してインドアーリア人になりました。

  一方東南アジアの島々の先住民にデニソワ人の遺伝子が受け継がれていると言うことも再認識されました。 オセアニアにはY-DNA「C2」、「M」と「S」という独特な3つのハプロタイプ亜型が存在します。島々に別れて住んだ動物ならその後接触がなければ亜種に分化することは常識ですが、 人間は移動手段を持ち近親婚による遺伝病を防ぐために部族間(島間)の通婚は当然だったはずで、自然のままなら更に亜型が分化する理由はないのです。 あの広いアマゾンの先住民でさえも亜型は見事にY-DNA「Q」のみなのです。
  ということは、旧サフール大陸以来の先住民であるY-DNA「C2」ニューギニア先住民とデニソワ人が交配してY-DNA「M」と「S」が分化した可能性も充分にあるのです。



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17-1. デニソワ人  :ネアンデルタール人のアジアの姉妹旧人

  American Journal of Human Geneticsのデニソワ人の報告です。BioQuick Newsの日本語訳も転載します。
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Denisova Admixture and the First Modern Human Dispersals into Southeast Asia and Oceania

David Reich, Nick Patterson, Martin Kircher, Frederick Delfin, Madhusudan R. Nandineni, Irina Pugach, Albert Min-Shan Ko, Ying-Chin Ko, Timothy A. Jinam, Maude E. Phipps, Naruya Saitou, Andreas Wollstein, Manfred Kayser, Svante Paabo and Mark Stoneking

Abstract

It has recently been shown that ancestors of New Guineans and Bougainville Islanders have inherited a proportion of their ancestry from Denisovans, an archaic hominin group from Siberia. However, only a sparse sampling of populations from Southeast Asia and Oceania were analyzed. Here, we quantify Denisova admixture in 33 additional populations from Asia and Oceania. Aboriginal Australians, Near Oceanians, Polynesians, Fijians, east Indonesians, and Mamanwa (a Negrito group from the Philippines) have all inherited genetic material from Denisovans, but mainland East Asians, western Indonesians, Jehai (a Negrito group from Malaysia), and Onge (a Negrito group from the Andaman Islands) have not. These results indicate that Denisova gene flow occurred into the common ancestors of New Guineans, Australians, and Mamanwa but not into the ancestors of the Jehai and Onge and suggest that relatives of present-day East Asians were not in Southeast Asia when the Denisova gene flow occurred. Our finding that descendants o f the earliest inhabitants of Southeast Asia do not all harbor Denisova admixture is inconsistent with a history in which the Denisova interbreeding occurred in mainland Asia and then spread over Southeast Asia, leading to all its earliest modern human inhabitants. Instead, the data can be most parsimoniously explained if the Denisova gene flow occurred in Southeast Asia itself. Thus, archaic Denisovans must have lived over an extraordinarily broad geographic and ecological range, from Siberia to tropical Asia.
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  複数の人種の移動によって形成されたアジアの歴史をDNAが解明 

  古代から現代までのヒトのDNAパターンを研究している国際チームは、40,000年前のアジアへの集団大移動と人種間のDNAの混合について新事実を発見した。 ハーバード大学医学部とドイツ、ライプツィヒのマックス・プランク進化人類学研究所の研究チームが最先端のゲノム解析法を使って調べた結果、デニソバンと呼ばれる古代人類が、 現代のニューギニアだけではなく、フィリピンとオーストラリアのアボリジニのDNAに関与していることが分かった。このデニソバンとは最古の人類の一種で、 去年シベリアで発掘された指骨のDNAを解析した結果解明された。今回の研究結果はこれまでの遺伝子学研究による説を否定し、現生人類は複数の大移動でアジアに定着したという事になる。


    「デニソバのDNAは、人の血管をトレースする医用イメージング色素のようなものです。とても目立つため、個体に少しの量でも存在していればすぐに分かるのです。 このようにして、私たちは大移動した人種の中からデニソバのDNAをトレースすることが出来たのです。これは、人類の歴史を理解するためのツールとして、 古代DNAの配列決定がいかに重要であるかを示しています。」と、ハーバード大学医学部の教授、デイビッド・リーク博士は語る。今回発見されたパターンは、 少なくとも二回の大移動があったことを示している。一つは東南アジアとオセアニアに住む原住民のアボリジニ、もう一つは東南アジアの人口のほとんどを占めている東アジア人の系統である。 また、この研究は古代デニソバンが居住していた場所についても新たな考察が成されている。マックス・プランク研究所の教授であり、 今回の論文の著者でもあるマーク・ストーンキング博士によると、デニソバンはシベリアから熱帯の東南アジアまでの非常に大規模な生態学的、地理的範囲に移住していたとされる。

  「デニソバンのDNAが東南アジアのいくつかのアボリジニに存在しているということは、44,000年以上前にデニソバのDNAを持つ人種と持たない人口が 市松模様のように存在していたということになります。このように、デニソバンの遺伝子を有するグループとそうでないグループがあるということは、 デニソバンが東南アジアに住んでいたとすれば説明がつきます」と博士は説明する。この所見は、2011年9月22日付けのAmerican Journal of Human Genetics誌に記載されている。 今回の研究は、マックス・プランク研究所のリーク博士率いるチームが2008年にシベリアのデニソバ洞窟でロシアの考古学者によって発見された古代の小指の骨を分析した研究に基づいている。 スヴァンテ・パーボ博士率いるマックス・プランク研究所チームは、この骨の核ゲノム配列を解析し、リーク博士が研究員と開発したアルゴリズムを使って人種の遺伝子解析を行った。 2010年12月のNature誌に掲載された彼らの研究結果によると、デニソバンが30,000年以上前に存在していた古代原人の一系統であり、現代のニューギニア人の遺伝子に関与しているようだ。 デニソバンはネアンデール人でも現生人類でもないが、共通祖先がいるという結論に達している。この論文により、初期の人類がアフリカを離れた時期から 曖昧になっていた人類の進化の過程について説明と、人間が歴史的に混在しているという見解が補完された。

  新しい研究は、東南アジアとオセアニアの遺伝子変異の専門家であるストーンキング博士によって始められた。博士は、これらの地域から多様なサンプルを集め全体像の構築を行なっている。 この研究はデニソバンの遺伝子が移動した「足跡」に重点を置いており、研究チームは、ボルネオ島、フィジー、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、フィリピン、 パプアニューギニア、そしてポリネシアを含む東南アジアとオセアニアにおける現在の人種の多種多様のDNAを解析した。既存のデータと新たなデータの解析結果を統合した分析結果によると、 デニソバンはニューギニア人だけでなく、オーストラリアのアボリジニとママンワと呼ばれるフィリピンのネグリト族、また東南アジアとオセアニアのいくつかの人種に遺伝子材パーツを提供している。 しかし、アンダマン諸島のオンジ族(注:Onge族のこと、日本人の縄文人の祖先型のY-DNA「D*」100%の遺伝子集団なので当然デニソワ人とは交配していない)やマレーシアのジェハイ族、 また東アジア諸島を含む西部や北西部の人種はデニソバンと交配していない。 研究チームは、デニソバンは現生人類と44,000年以上前に東南アジアで交配したと結論付けた。 これは、オーストラリア人とパプアニューギニア人が分化する前である。東南アジアは、現在の中国人とインドネシア人とは関係のない近代人種によって植民地化された。 この「南方ルート」仮説は、考古学的な証拠によってはサポートされていたが、強力な遺伝子的証拠は今まで存在していなかった。MITとハーバード大学のブロード研究所、 ドイツ、インド、台湾、日本、マレーシア、そしてオランダからのチームによる共同研究によってこの研究は行なわれた。



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