15-20. 母親のミトコンドリア遺伝子が子供の老化に影響

  「Nature Letter」の2013年8月21日版に、「生殖細胞系ミトコンドリアDNAの変化は老化を悪化させて、脳発達を害する」ことが報告されました。

  当ホームページでは、ミトコンドリアが生物にとってはもともと共生体でエネルギー生産を専門に受け持つことで生物の一部として生きること(共生)に成功し、かつ独自のmtDNAを持ち独自に存在し、ミトコンドリアの突然変異で筋ジストロフィーなどの難病を引き起こすことなどをご紹介してきました。

  ユニークな研究では、優秀なアスリートの素質として持久型の運動に向いているのか、瞬発型が向いているのかはmtDNAのタイプで判別され、mtDNAのハプロタイプである程度判別できるという早稲田大学の論文もご紹介してきました。運動にはエネルギー産生が必要である以上運動能力の基礎は母親からしか遺伝しないのです。父親は叱咤激励出来るだけなのです。つまりアスリートの父親の子供がアスリートの素質を持つとは限らなく、アスリートの母親の子供はアスリートの素質を持つ可能性が高いのです。

  つまり父親の母親(祖母)がアスリートなら父親もアスリートの素質を受け継ぎやすいのです。しかし母親がアスリートではないかもしくはアスリートの素質を持っていなければ子供はアスリートになれるかどうかは?なのです

  このことは、当ホームページの記事14-2でもご紹介しているように母方のミトコンドリアDNAのみが遺伝し、父親のmtDNAはゴミとして捨てられてしまうからに他ならないからなのです。このようにミトコンドリアとmtDNAは我々の形質遺伝に無くてはならないエネルギー生産体なのです。

  ところが、その母親のミトコンドリアに生じる突然変異がマイナスの変異の場合、生まれた子供の老化に大きな影響を及ぼすことがわかってきたのです。

  という訳で、論文とBioquicknewsの解説記事をご紹介します。
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Germline mitochondrial DNA mutations aggravate ageing and can impair brain development

Jaime M. Ross, James B. Stewart, Erik Hagstrom, Stefan Brene, Arnaud Mourier, Giuseppe Coppotelli, Christoph Freyer, Marie Lagouge, Barry J. Hoffer, Lars Olson & Nils-Goran Larsson

Nature Letter: 21 August 2013, doi: 10.1038/nature12474

Ageing is due to an accumulation of various types of damage, and mitochondrial dysfunction has long been considered to be important in this process.
There is substantial sequence variation in mammalian mitochondrial DNA (mtDNA), and the high mutation rate is counteracted by different mechanisms that decrease maternal transmission of mutated mtDNA.
Despite these protective mechanisms, it is becoming increasingly clear that low-level mtDNA heteroplasmy is quite common and often inherited in humans.
We designed a series of mouse mutants to investigate the extent to which inherited mtDNA mutations can contribute to ageing.
Here we report that maternally transmitted mtDNA mutations can induce mild ageing phenotypes in mice with a wild-type nuclear genome.
Furthermore, maternally transmitted mtDNA mutations lead to anticipation of reduced fertility in mice that are heterozygous for the mtDNA mutator allele (PolgAwt/mut) and aggravate premature ageing phenotypes in mtDNA mutator mice (PolgAmut/mut).
Unexpectedly, a combination of maternally transmitted and somatic mtDNA mutations also leads to stochastic brain malformations.
Our findings show that a pre-existing mutation load will not only allow somatic mutagenesis to create a critically high total mtDNA mutation load sooner but will also increase clonal expansion of mtDNA mutations to enhance the normally occurring mosaic respiratory chain deficiency in ageing tissues.
Our findings suggest that maternally transmitted mtDNA mutations may have a similar role in aggravating aspects of normal human ageing.

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  Bioquicknewsの紹介記事です。

A Mother’s Mitochondrial Genes Influence Her Child’s Aging
母親のミトコンドリア遺伝子が子供の老化に影響

  人間は年を取るにつれて器官の機能が衰えるだけでなく、細胞レベルでも損傷が徐々に増えていく。その理由の一つとして、DNAのエラーが累積され、欠陥のある細胞が作られるようになることが挙げられる。ドイツのケルン所在Max Planck Institute for Biology of AgeingのDr. Nils-Goran Larsson率いる研究チームが、老化は生活の間のDNA損傷の累積によって決まるだけでなく、母体から受け継いだ損傷によるところもあることを突き止めた。同研究チームは、マウスを使った研究で母体から受け継ぐミトコンドリアDNAの突然変異が、生まれた瞬間から子供の老化過程に影響することを実証したのである。この研究論文は、2103年8月21日付「Nature」オンライン版に掲載されている。

  老化は複雑なプロセスであり、歳月を経るうちに身体の組織、細胞、分子の損傷が累積していき、最終的に器官の機能が衰え、死亡のリスクが高くなる。なぜ人によって老化の速さが異なるのかという疑問に対しては未だに解き明かされていない理由がいくつもある。それでも、細胞のエネルギー源であるミトコンドリアに起きる損傷は老化に対して特に重要と見られている。Dr. Larssonは、ケルンのMax Planck Institute for Biology of AgingでDirectorを務め、ストックホルムのKarolinska Institute所属の研究者でもある。そのDr. Larssonが、同じKarolinska InstituteのDr. Lars Olsonとともにこの研究を指導した。Dr. Larssonは、「ミトコンドリアは、ミトコンドリアDNAまたはmtDNAと呼ばれる独自のDNAを持っており、細胞核中のDNAよりも変化が速い。これが老化プロセスに大きく影響しており、ミトコンドリア内の突然変異の多くが徐々に細胞のエネルギー生産を止めていく」と述べている。

  これまでの研究では、「生活過程で累積される突然変異が老化過程に影響する」とされていたが、Dr. Larssonの部門の研究者、Dr. James Stewartは、「驚いたことに、母体のミトコンドリアDNAが私たちの老化に影響していることが突き止められた。マウスが母体から突然変異したmtDNAを受け継ぐと老化が早まることが明らかになった」と述べている。したがって、老化を引き起こすような突然変異が生まれた時から体内に存在しているのである。老化の研究では、ミトコンドリアはすでに長年にわたって詳しく調べられてきた。細胞中のミトコンドリアは、環状DNAゲノムの何千という複製を持っており、これがたとえば呼吸鎖の酵素に重要なタンパク質をエンコードする。細胞核中のDNAは両親から受け継がれるが、ミトコンドリアは精細胞ではなく、卵母細胞経由でのみ子供に受け継がれるため、ミトコンドリアDNAは母親の遺伝子に限られている。細胞中のミトコンドリアの無数にあるDNA分子は互いに無関係に突然変異し、mtDNA分子は正常なものも損傷を受けたものも次の世代に受け継がれる。

  mtDNAの損傷が子供にどのような影響をもたらすかを調べるため、研究チームはマウス・モデルを使った。母親からmtDNAの突然変異を受け継いだマウスは、欠陥を受け継いでいないマウスに比べて早死にしただけでなく、体質量が減ったり、オスの繁殖力が減退するなどの早すぎる老化現象が起きた。そればかりか、mtDNAの突然変異を受け継いだマウスは心筋疾患を発症しやすくなっていた。研究チームが突き止めたように、mtDNAの突然変異は老化を速めるだけでなく、成長を損なうものだった。マウスの場合、先天性の欠陥ばかりでなく、生活過程でのmtDNAの突然変異の累積が脳の発達を妨げていた。研究チームは、先天的なmtDNAの欠陥と後天的なmtDNAの欠陥が合わさり、最終的に臨界量に達するものと結論した。

  Dr. Larssonは、「私たちの研究結果は老化のプロセスを解明し、また老化ではミトコンドリアが重要な役割を果たしていることが示されている。また、突然変異の数を減らすことも重要であることが明らかになった」と述べている。ただし、ライフスタイルなどによって、mtDNAの損傷の度合いを左右することが可能かどうかは研究を続けなければ分からないと述べており、将来的にはミバエやマウスなどのモデル生体でmtDNAの突然変異を減らすことで寿命を延ばすことができるのかどうかというところまで研究を続けたいとしている。

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  当ガラパゴス史観は分子生物学専攻ですが、まだ現役の電子顕微鏡の研究者時代に筋ジストロフィーの患者さんの筋肉の研究に協力し、ミトコンドリア内に見事な結晶(恐らくたんぱく質の)ができるためミトコンドリアのエネルギー産生機構が働かなくなり筋肉が委縮してしまうことを確認しました。

  ミトコンドリアの突然変異は自分自身の代でも起ることなので、Natureのこの研究成果は、ミトコンドリアに起因する病気のある疾病は母親の遺伝であると言うことです。そして老化を早めるミトコンドリアの突然変異も母親から受け継いでいるということなのです。

  ということは母親が長寿なら子供も長寿になる可能性が高い、ということです。つまりぎんさん四姉妹が長寿なのは当たり前なのです。長寿でありたい人は母親を選ばなければいけないのですが、生れてからでは遅すぎるのが難点です。

  母親がいかに偉大で大切な存在か改めて考えさせられますが、母親は選べないので遺伝は良くも悪くもそのまま受け止めましょう。



以上

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