15-23. 洞窟壁画の発見は4万年前のアジアでも具象芸術が存在していた事を証明する

  「Nature」の2014年10月9日付けで、「インドネシア・スラウェシ島の更新世の洞窟壁画」の存在が報告されました。

  これは欧米の研究者にとっては衝撃的な”事件”だったようです。アルタミラの洞窟とかカスティーヨ洞窟などの洞窟壁画はクロマニヨン人や交配したらしい晩期ネアンデルタール人等が描いた物で、 ヨーロッパ人が美術・芸術に優れている優越性の理由にされて、アジア系が芸術性に劣る理由にもされてきたそうです。

  しかしヨーロッパと同じ30,000年から40,000年前にアジアでも既に洞窟壁画が描かれていた事実は、芸術性は欧米人だけでなくアジア人にも受け継がれてきたことを証明したと言えるものです。 欧米人の困惑ぶりが目に見えるようです。

  こうして、考古学の発達に伴い欧米白人の考えてきた優越性・白人至上主義は少しづつ無くなって来るのです。

  という訳で、NatureのAbstructをご紹介します。

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Pleistocene cave art from Sulawesi, Indonesia
Nature 514, 223-227, 9 October 2014, doi:10.1038/nature13422
M. Aubert , A. Brumm , M. Ramli , T. Sutikna , E. W. Saptomo , B. Hakim , M. J. Morwood , G. D. van den Bergh , L. Kinsley & A. Dosseto

Abstract
  Cave art from the island of Sulawesi in Indonesia, consisting of human hand stencils and animal paintings, is at least 40,000 years old, raising the question of why rock art traditions appeared at more or less the same time at opposite ends of the Late Pleistocene human world.
  Archaeologists have long been puzzled by the appearance in Europe 40?35 thousand years ago of a rich corpus of sophisticated artworks, including parietal art (that is, paintings, drawings and engravings on immobile rock surfaces) and portable art (for example, carved figurines), and the absence or scarcity of equivalent, well-dated evidence elsewhere, especially along early human migration routes in South Asia and the Far East, including Wallacea and Australia, where modern humans (Homo sapiens) were established by 50 kyr ago.
  Here, using uranium-series dating of coralloid speleothems directly associated with 12 human hand stencils and two figurative animal depictions from seven cave sites in the Maros karsts of Sulawesi, we show that rock art traditions on this Indonesian island are at least compatible in age with the oldest European art.


インドネシア・スラウェシ島の更新世の洞窟壁画

  人間の手形および動物画から構成されるインドネシアのスラウェシ島の洞窟芸術は少なくとも40000年前のものです。そして岩芸術という様式が後期更新世の人間界の(西ヨーロッパとインドネシア諸島部と言う)両端で大体同時期になぜ出現したのかという問題を提起します。

  考古学者は35,000-40,000年前頃のヨーロッパに出現した在壁の芸術(つまり静止した岩面の上の絵や図面と彫刻)や携帯出来る芸術(たとえば彫刻された小立像)を含む豊富な洗練された美術品の集積と、
  そして特に現代人類が 50,000年前には既に安住していたWallacea島嶼群やオーストラリアを含む南アジアや極東への人類の初期の移動ルートに沿ったどの場所でも同等の価値を持つ芸術品が欠如或いは不足していたことに長い間困惑してきました。

  ここで、スラウェシ島のMarosカルスト(石灰岩が雨水に溶食された地形)の7つの洞穴遺跡から12の人間の手形および2つの形象的な動物描写に直接伴った洞窟内の珊瑚状の二次生成物のウラン系列の(半減期)日付を使用して、私たちはこのインドネシアの島の岩芸術様式が最も古いヨーロッパの芸術と少なくとも年代的に一致することを示します。


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        いろいろな紹介記事がありましたが、最もわかり易かった「Anthropology.net」(Anthropology=人類学)の記事の訳文を掲載しますのでご参考に。また写真は「NBC News」や「the guardian」からも借用しています。

インドネシアのスラウェシ島の39,000年前の洞窟芸術











  この手形はスラウェシ島のMaros地域の洞穴のうちの1つで1950年代には発見されていました。

  下図は今回報告された壁画の原写真(上)と絵を抽出したもの(下)です。
  この洞窟芸術として世界で最も古い手形(右上)および恐らく最も古いかもしれない形象的描画のメスのバビルサ(豚のような動物、ブタ鹿とも呼ばれます)は、スラウェシ島(ボルネオの東方の島)のLeang Timpuseng洞穴で発見されました。

  今回ネイチャーに公表された論文は、右上の手形上の沈殿物の年代について説明していますが、それは世界で最も古い39000年以上前の描画でした。
  この手形に隣接している左側の動物は35,400年前のバビルサでした。











  この研究の研究者は、画像を覆っていた10mmの鉱物の層を調査しました。
  これらの鉱物には微量の放射性ウランが含まれていました。
  手形を覆っていた鉱物の最低年代は39,000年前で、手形は当然覆った鉱物より以前に描かれているので更に数千年は古いことを示します。

  スペインのエル・カスティージョ洞穴はこの同じ年代決定法によって少なくとも40,800年前とわかり、既知の最も古い洞窟芸術となっています。
  エル・カスティージョは37,300年前の手形もあります。

  スラウェシの洞窟壁画は年代でこれらの発見に匹敵し、最近でも17,000年前ぐらいまでそこで存続していた様式に属しているように見えます。

  芸術は更新世に世界中で出現していました。

  我々は、最も古い既知の絵画および手形はヨーロッパ(それは恐らく芸術がその地域で生まれたというヨーロッパ中心の考え方を生じさせました)にあると以前は思っていました。しかしこの研究はこの概念が誤りであったことを示しました。

  我々は、このインドネシアの島の岩芸術様式は年代的に最も古いヨーロッパの芸術と少なくても同年代であることを示します。

  Marosの最も初期の画像は、少なくても39.900年前の日付を持っており、今のところ世界で最も古い既知の手形です。
  さらに、バビルサ(ブタ鹿)の絵画は少なくとも35.400年前の日付を持つということは、世界で最古ではないにしても最も初期に描かれた形象的な描画の一つです。

  人類は40000年前には更新世のユーラシア世界の両端で岩芸術を生み出していたことを、今こそ実証できたのです。
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  この洞窟壁画の発見は当ガラパゴス史観にも大きな影響を与えます。
  この洞窟壁画が発見されたインドネシアのスラウェシ島(旧名セレベス島)は古代のスンダランドの隣でニューギニアとオーストラリアが一体化していたサフール大陸の手前に位置します。そしてサフール大陸には50,000年前にはホモサピエンスが既に上陸し遺跡を残し、40,000年前の漁労の遺跡も発見されています(Scienceの当記事14-4参照)。

  そして彼らの子孫が我らが縄文海洋性ハンターY-DNA「C1a1」(旧「C1」)の弟遺伝子の、ニューギニア先住民(Y-DNA「C1b2」旧「C2」)やオーストラリアンアボリジニ(Y-DNA「C1c」旧「C4」)ということもわかっています。下図はスンダランドとサフール大陸の地図です。Wikipediaから拝借しました。
































  スンダランドとサフール大陸の間にあるのが、今回洞窟壁画が発見されたWallaceaで最下図の赤い部分の島嶼群です。ここは寒冷期でも大陸に繋がらず島々として残っていた部分なのです。つまり当時のY-DNA「C」遺伝子集団は海を渡る手段を既に持っており、40000年前には漁労を行っていたほどの技術力を持った海洋性技能集団だったのです。



















  となると、縄文人の中の海洋性集団Y-DNA「C1a1」も当然洞窟壁画の手法を持っていたはずですが、日本列島、特に琉球列島の港川人あたりはその集団の子孫候補なので、沖縄沿岸の古い石灰質の洞窟が存在すれば壁画が見つかる可能性は大なのです。

  ただしインドネシアのスラウェシ島の真南に位置するフローレス島ではネアンデルタール人のアジア型らしいデニソワ人の仲間と思われるフローレス人が発見されており、そのフローレス人の遺構の可能性も残されています。

  いずれにせよ、ネアンデルタール人に起源があると考えられる当時最先端の技術や”芸術”は、ヨーロッパだけでなくアジアでも連綿と受け継がれていたことがわかったことは重要なことです。

  出アフリカを果たした、現代人(アフリカに留まり原始のまま進歩から取り残されたY-DNA「A」と「B」は除く)は、ネアンデルタール人と交配することで彼らの先進文化を一気に獲得し、
  進化後、数十万年経ち人類として終焉を迎えつつあったネアンデルタール人を交雑による自然吸収の形で取り込むことで、ホモサピエンスを確立してきたという欧米の最新人類学の主張は間違いないのかもしれません。

  恐らく我々ホモサピエンスもネアンデルタール人同様、数十万年後には終焉を迎えるのでしょう。その時に更に新しい人類が誕生しているのかは誰もわかりませんが。



以上

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