15-24. ホモサピエンスY-DNAの出現時期が24万年前に戻るらしい!?

  当史観の記事17-8で「ホモサピエンスY-DNAの出現時期が更に古く34万年前になるらしい!?」とご紹介したのですが、 今般、アイスランド国民の調査でY-DNAはもう少し新しく24万年前頃の出現と報告されました。 要するに試算できた突然変異速度が若干早かったのだそうです。

  記事17-8.はY-DNA研究の大御所のKarafetやHammerが参加していた研究報告だったのですが、「常染色体」とその突然変異速度を用いた研究、と言う点に受け入れにくさがありました。 今回は大御所は加わってはいませんが、Y-DNAの突然変異速度を解析し用いた研究なので、17-8.の記事よりはもう少し受け入れやすい感じがします。 またこれまでの研究は限られた血統や世代の間隔に基づいていたため、今回の753人もの割と過去に遡って家系が追えるアイスランド人を集団調査したため、はるかに精度が上がっているようです。 突然変異速度の研究部分は非常に難解でさすがに良くわかりませんでしたが、結果の数字は割と納得できました。 Abstractと出現時期に関して記述されている部分を抜粋して掲載しますので、興味のある方は是非原著をどうぞ。
  ご参考に記事17-8.を併記しておきました。

<紹介記事>
  「The Y-Chromosome Point Mutation Rate in Humans」は、5万年を超える男系を対象に研究し、人間の男性性染色体の突然変異率を詳しく正確に推定している。 この突然変異率を進化時計の一種として、歴史上の事件やヒト種の進化、ヒトの社会の進化の時期を特定することができる。 たとえば、現在の全世界のY染色体の最後の共通の祖先はざっと239,000年ほど前に遡り、他の方法による推定よりも10万年近く時代を下っており、母親から子供に伝えられるミトコンドリアDNAすべての最後の共通の祖先の年代にかなり近づいている。
=================================
The Y-chromosome point mutation rate in humans

Nature Genetics Volume: 47, 453?457 (2015) doi:10.1038/ng.3171

Agnar Helgason, Axel W Einarsson, Valdis B Gudmundsdottir, Asgeir Sigurdsson, Ellen D Gunnarsdottir, Anuradha Jagadeesan, Sunna Ebenesersdottir, Augustine Kong & Kari Stefansson Abstract

Mutations are the fundamental source of biological variation, and their rate is a crucial parameter for evolutionary and medical studies. Here we used whole-genome sequence data from 753 Icelandic males, grouped into 274 patrilines, to estimate the point mutation rate for 21.3 Mb of male-specific Y chromosome (MSY) sequence, on the basis of 1,365 meioses (47,123 years). The combined mutation rate for 15.2 Mb of X-degenerate (XDG), X-transposed (XTR) and ampliconic excluding palindromes (rAMP) sequence was 8.71 × 10?10 mutations per position per year (PPPY). We observed a lower rate (P = 0.04) of 7.37 × 10?10 PPPY for 6.1 Mb of sequence from palindromes (PAL), which was not statistically different from the rate of 7.2 × 10?10 PPPY for paternally transmitted autosomes1. We postulate that the difference between PAL and the other MSY regions may provide an indication of the rate at which nascent autosomal and PAL de novo mutations are repaired as a result of gene conversion.

  下記、訳してみましたが、未だに良くわかりません難解です。ほんの参考程度に読んで下さい。

  突然変異は生物学的バリエーションの基本的な源です、そして突然変異速度は進化と医学研究の重要なパラメータです。 ここでは、我々は753人のアイスランドの男性から全部のゲノム配列データを使いました。そして、274の父系に分類されました。 そして、1365の減数分裂(47,123年分)に基づいて、男性に特有の21.3MbのY染色体(MSY)配列の点変異速度を推定しました。 15.2MbのX-変質(XDG)、X-入替(XTR)と単位複製配列を除いた回分構造(rAMP)配列のための組み合わせ突然変異速度は、1年で8.71×10−10の突然変異でした(per position per year = PPPY)。 我々は6.1Mbの回文構造(PAL)からの配列について7.37×10−10 PPPYの低い速度(P = 0.04)を観測しました。 そして、それは父系の常染色体で得られた結果7.2×10−10 PPPYと統計学的に異なりませんでした。 PALとY-DNAの他の場所との違いは、初期の常染色体およびPALの新規の突然変異は遺伝子変換の結果として修繕され、その速度表示として提供されるかもしれないと我々は仮定します。


Excerpt

One important application of the MSY mutation rate is for estimating the time to the most recent common ancestor (TMRCA). Recent studies have provided conflicting estimates of the mutation rate and the TMRCA for all Y chromosomes in humans. One source of confusion stems from the tendency to report pedigree estimates in PPPG and evolutionary estimates in PPPY. Given the impact of father's age at conception on the mutation rate and variation in generation intervals across time and space, it is vital that rates be reported and used in PPPY. Our pedigree-based mutation rate estimate across 16 Mb of XDG, rAMP and XTR sequence of 8.71 × 10?10 PPPY has the advantage of considering a large number of meioses and having a narrow CI. When this rate was applied to estimate the TMRCA between two Y chromosomes that encompass the oldest known patrilineal bifurcation between any humans (representing haplogroups A00 and A0, with 75 derived mutational differences in 180 kb of XDG sequence), we obtained a maximum-likelihood estimate of 239,000 years ago and a 95% CI of 188,000?296,000 years ago (174,000?321,000 years ago when incorporating the 95% CI of our mutation rate). This calculation places the TMRCA for human Y chromosomes much closer to that of 170,000?180,000 years ago for mitochondrial DNA (mtDNA) (based on a calibrated rather than directly measured mutation rate) than the estimate of 338,000 years ago, obtained by extrapolating from the autosomal PPPG mutation rate.

  MSY(Y染色体)の突然変異速度の重要なアプリケーションの一つは、最も最近の共通の祖先(TMRCA)の出現時期を推定するためです。 最近の研究は、人類のY染色体のTMRCA(最も最近の共通の祖先)と突然変異速度に、矛盾する推定を提供しました。 DNAの1世代あたりの変異を血統的に推定したり、1年当たりの変異を進化的に推定して報告する、という傾向あることが混乱の1つのもととなっています。 突然変異速度という構想における父親の年齢が持つ効果と、時間と空間を越えた世代間隔の変化が与えられて、突然変異速度が報告されPPPYで使用されることが不可欠です。 16Mbに渡るXDG、rAMPとXTR配列で8.71×10−10のPPPYと見積もられた、我々の血統ベースの突然変異速度は、多数の減数分裂を考慮して、高い信頼性(CI)を持つという有利な点があります。 いかなる人(180kbのXDG配列から派生した75の突然変異の違いで、ハプロタイプのA00とA0が分化しています)の間でも最も古い既知の父系の分岐を含む、 2つのY染色体間にTMRCAを試算するために突然変異速度が適用されたとき、我々は239,000年前という最大可能性と 95%の信頼度で188,000?296,000年前という数字を得ました(我々の突然変異速度を取り入れると174,000?321,000年前、95%の信頼度となります)。 この調査でのY-DNAのTMRCAの計算結果は、常染色体PPPG突然変異速度から推定し得られた338,000年前の見積りより、 mtDNAで得られた170,000-180,000年前(直接測定された突然変異速度と言うよりキャリブレーションされた結果に基づく)にかなり近い。
=================================

  ちなみに当ガラパゴス史観の記事10-3.のY-DNA「R1b」ケルト度調査に掲載したアイスランド人のY-DNAハプロタイプの出現頻度は下記の通りです。



  ケルト(Y-DNA「R1b」)とヴァイキング(Y-DNA「I」と「R1a」)の子孫が99.5%を占める、複雑なヨーロッパの中ではY-DNA構成が極めてシンプルな非常にわかりやすい国民になっています。 このため家系を追いやすいのではないか感じます。
  これが日本だと特に縄文系のY-DNA「D2」は戦後のマッカーサーの農地改革まで名もない貧民・小作人(苗字は明治維新で無理やり付けましたが)が大部分だったため、 残念ながら家系など追えるものはほとんどないでしょう。 他の縄文系は、山岳系ハンターのY-DNA「C2a」(旧「C3c」)で山賊から武士階級に成りあがった家系や海洋性ハンターのY-DNA「C1a」で水軍を構成した家系ぐらいが家系を追える程度です。 他は名もない山岳民や漁民と思われます。 極めて残念なのですが日本で家系がある程度追えるのは、支配層だったY-DNA「O3」の大和朝廷族、武士階級とY-DNA「O2b」,「O2b1」のなかの極一部の裕福な名主・庄屋クラスぐらいでしょう。



以上

表紙に戻る

17-8. ホモサピエンスY-DNAの出現時期が更に古く34万年前になるらしい!?

  The American Journal of Human Genetics 92, 454?459, March 7, 2013に、ホモサピエンスのY-DNAの分化時期が飛躍的に遡ると言う論文が出ました。 Y-DNAが対象なのでmtDNAには触れていません。何が問題か、と言うとこれまでの研究報告はY-DNA Adamが現れる時期よりもミトコンドリアEveが出現する時期の方が常に古く、 ホモサピエンスへの進化は先ず女性に生じ徐々に進化型の頻度が高まり男性も進化するというストーリーでした。

  このY-DNAの出現がこれまでの最新報告だったCruciani et al.の200000年前から一気に95%の信頼度で338000年前に遡ってしまったのです。 あまりにあまりなので暫くホームページでご紹介するのをためらっていました。

  この年代試算は新しい事実が出た、という訳ではなく年代試算に使う突然変異速度(Mutation Rate)が違うようなのです。Cruciani等が用いた高い突然変異速度より遅い突然変異速度が採用されたようです。 従って同じ変異が起るためには遅い変異速度の方が古い年代が計算されるのです。

  この変異速度が妥当なものかは当ガラパゴス史観にはわかりませんが、研究者は研究者なりの考え方でそれぞれRateを採用し、 学術誌の審査委員がそのRateを学問的に妥当と認めたから論文を採用したのでしょう。

  当ガラパゴス史観が本論文をご紹介することにしたのは、本論文の共同執筆者にKarafetHammerというこの分野の重鎮2名が名を連ねているからです。 Abstractをご紹介しますので興味のある方は原著をどうぞ。

  なおmtDNA/ミトコンドリアEveの年代もMutation Rateを遅くすれば当然出現年代は古くなります、従って現時点では進化は女性から起るというストーリーは変更する必要はありません。 つまり、猿人、原人、ネアンデルタール人も含めMutation Rateの再検討を行えば人類発祥の絶対年代が修正される可能性もありますが相対的な新旧は変わらないと思います。
=================================
An African American Paternal Lineage Adds an Extremely Ancient Root to the Human Y Chromosome Phylogenetic Tree

The American Journal of Human Genetics 92, 454?459, March 7, 2013

Fernando L. Mendez, Thomas Krahn, Bonnie Schrack, Astrid-Maria Krahn, Krishna R. Veeramah, August E. Woerner, Forka Leypey Mathew Fomine, Neil Bradman, Mark G. Thomas, Tatiana M. Karafet, and Michael F. Hammer

Abstract

We report the discovery of an African American Y chromosome that carries the ancestral state of all SNPs that defined the basal portion of the Y chromosome phylogenetic tree. We sequenced ~240 kb of this chromosome to identify private, derived mutations on this lineage, which we named A00.We then estimated the time to the most recent common ancestor (TMRCA) for the Y tree as 338 thousand years ago (kya) (95% confidence interval ? 237?581 kya). Remarkably, this exceeds current estimates of the mtDNATMRCA, as well as those of the age of the oldest anatomically modern human fossils. The extremely ancient age combined with the rarity of the A00 lineage, which we also find at very low frequency in central Africa, point to the importance of considering more complex models for the origin of Y chromosome diversity. These models include ancient population structure and the possibility of archaic introgression of Y chromosomes into anatomically modern humans. The A00 lineage was discovered in a large database of consumer samples of African Americans and has not been identified in traditional hunter-gatherer populations from sub-Saharan Africa. This underscores how the stochastic nature of the genealogical process can affect inference from a single locus and warrants caution during the interpretation of the geographic location of divergent branches of the Y chromosome phylogenetic tree for the elucidation of human origins.


























=================================

  概要

  "私たちは、Y染色体系統樹の基礎の部分を定義したすべてのSNPの祖先の状態を伝えるアフリカ系アメリカ人のY染色体の発見を報告します。 "

  この血統の上で個人的な、派生突然変異を確認するために、我々はこの染色体の~ 240kbを配列しました。そして、それに我々はA00という名前をつけました。 Y-DNAツリーの最も最近の共通祖先(TMRCA=Y-DNA Adam)の年代を試算したところ、33万8000年前(95%の信頼間隔で237〜581 kya)となった。

  これは、解剖学的に最も古い現代人の化石の年代と同様にmtDNATMRCAの現在の試算を著しく超過します。

  私たちが非常に低い頻度で発見した非常に古い年代の希少なA00血統と結合したことはY染色体多様性の起源のより複雑なモデルを考慮する重要性を指摘します。

  これらのモデルは、古代の人口構造および解剖学的な近代人の中へのY染色体の古い遺伝質浸透の可能性を含んでいます。

  "A00血統はアフリカ系アメリカ人の消費者サンプルの大きなデータベースの中で発見され、サハラ以南のアフリカの伝統的な狩猟採集民集団の中では識別されていません。 "

  人間の起源の説明のためのY染色体系統発生のツリーの互いに異なる枝の地理的な位置の解釈の中で単一の場所と根拠から 系統的なプロセスの確率的な性質がどのように推論に影響を及ぼすことができるかについて、これは強調します。
===================================

  上図の簡単な説明:Y-DNA Adamの分化時期が33.8万年前頃(Crucianiは20.9万年前頃)、コイサン族等のY-DNA「A0」の亜型分化が20.2万年前頃(Crucianiha12.5万年前頃)です。 Y-DNAの亜型「A00」と「A0」は記事1-1のツリーで確認してください。Mboはカメルーン、コンゴなど中央アフリカ一帯のバンツー語族の中のMbo語を話す集団です。 17000前頃に亜型分化したようです。恐らくY-DNA「E」の南下によりY-DNA「A」との交配が進んだ結果でしょう。Y-DNA「E」はほぼ全アフリカのネイティヴ・アフリカンに認められるほど、 中東でY-DNA「D」と分離後、中東から戻りアフリカしその後一気に全アフリカに拡散したようです。

  この報告はまだそれほど大きな反響を呼んではいないようです。 近年の分子時計の年代見直しで遺伝子の変異時間(Mutation Rate)が機器分析を駆使し編年作業が飛躍的に進んだ考古学の年代に合わせる作業が進んでいて、 ミトコンドリアEveやY-DNA Adamの出現時期がそれぞれ20万年前と14万年前により古く修正されたばかりでした。 上図では今回採用されたMutation Rateによる分化時期(黒数字)とCruciani et al.によるこれまでの年代(灰色数字)が併記されています。 この論文では、Cruciani達が採用したMutation Rateは早く、もう少し遅いのではと考えているようですが、論文の審査員達は遅いRateの意味と学問的な正当性を認めたようです。 これからこのMutation Rateの問題はこの分野で大きな研究課題になってくると思います。何故Rateが研究者によって変わるのかは、Y-DNA Adamと直接関連付けられる考古学的な遺物がわからないからです。 多くの考古学者達はアウストラロピテクスのようなそもそも人類の発祥・起源には大いなる使命を持ち過酷なアフリカ大地で発掘を進めるのですが、ホモサピエンスの発祥はそれほど大きな研究テーマではないのでしょう。 我々普通の現代人から見ると遠すぎるご先祖のアウストラロピテクスより直接自分達に関わるホモサピエンスや日本人の発祥・起源の方が大事です。

  ともかく、ホモサピエンス男子の発祥が約34万年前としても、最新の研究で60万年前頃に出アフリカしたと考えられるようになりつつあるネアンデルタール人がアフリカから出て行ったあと、 ホモサピエンスはその後26万年近く原人のままアフリカ大地に取り残された進化遅れの人類と言うことになります。が、本当にそう考えればいいのでしょうか?  出アフリカしなかった猿人に対し、原人も旧人も新人も全て出アフリカを決行しているのです。そして原人の遺跡も旧人の遺跡もアフリカ大地からはあまり報告されてはいません。 サハラが砂漠化してしまっためとサハラ以南はジャングルのためいずれにせよ遺跡の発掘は極めて困難だからなのです。従って出アフリカした先輩人類の遺跡がアフリカ以外でのみ発掘されるのです。 もしかするとホモサピエンスは原人から進化したのではなく、アフリカに留まった旧人から進化した可能性だってあります。

  もう一点、重要なことはY-DNA「A00」という子亜型はアフリカからはまだ発見されていないと言うことです。「A00」は中央アフリカ付近から 奴隷として北米に連れてこられたネイティヴ・アフリカンの子孫から見つかった、ということですので中央アフリカ付近の精緻なY-DNA調査を行えば今後発見されることは充分にあり得ます。



以上

表紙に戻る

くりっく365とは   プロフィール  PR:無料HP  横手自動車学校  IT 専門学校  SSTツール  タイヤ 寿命  タイヤ プリウス 新品  ボーカロイド 専門学校  クルマパーツ  ふくやま自動車学校  パワーストーン  山梨 合宿免許  マーク2 中古  リノベーションセミナー