17-11. 出アフリカした現代人は免疫システムをネアンデルタール人から獲得した!?

  出アフリカしたホモサピエンスが中東でネアンデルタール人と交配し、ホモサピエンスは遺伝子の1-4%をネアンデルタール人から受け継いだことは既に定説になりました。

  そしてY-DNA「B」の一部に過ぎなかった出アフリカ組のホモサピエンスは恐らく中東で、ネアンデルタール人の文化・技術や形質を多く受け継いだY-DNA「CF」と あまり受け継がなかったY-DNA「DE」に分化したことも間違いないでしょう。

  この出アフリカ組ホモサピエンスとネアンデルタール人との交配の事が、昨年2013年11月8日に発表された「The Journal of Biological Chemistry」の報告でより理解が深まることになりました。 今回の報告はScienceで発表された当紹介記事の「14-6. HLA抗原・免疫システムから解析した現代人と旧人の交配」と併せて読んでいただくと、より理解が深まります。 という訳で、今回の論文のAbstructとBioquicknewsの解説記事をご紹介します。ご興味のある方は是非原著をお読みください。
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A novel family of human lymphocyte antigen class II receptors may have its origin in archaic human species

Sebastian Temme, Martin Zacharias, Jurgen Neumann, Sebastian Wohlfromm, Angelika Konig, Nadine Temme, Sebastian Springer, John Trowsdale and Norbert Koch

November 8, 2013, doi: 10.1074/jbc.M113.515767 The Journal of Biological Chemistry, 289, 639-653.

 HLA class II α and β chains form receptors for antigen presentation to CD4+ T cells. Numerous pairings of class II α and β subunits from the wide range of haplotypes and isotypes may form, but most of these combinations, in particular those produced by isotype mixing, yielded mismatched dimers.
 It is unclear how selection of functional receptors is achieved. At the atomic level, it is not known which interactions of class II residues regulate selection of matched αβ heterodimers and the evolutionary origin of matched isotype mixed dimer formation. In this study we investigated assembly of isotype-mixed HLA class II α and β heterodimers.
 Assembly and carbohydrate maturation of various HLA-class II isotype-mixed α and β subunits was dependent on the groove binding section of the invariant chain (Ii). By mutation of polymorphic DPβ sequences, we identified two motifs, Lys-69 and GGPM-(84?87), that are engaged in Ii-dependent assembly of DPβ with DRα.
 We identified five members of a family of DPβ chains containing Lys-69 and GGPM 84?87, which assemble with DRα.
 The Lys/GGPM motif is present in the DPβ sequence of the Neanderthal genome, and this ancient sequence is related to the human allele DPB1*0401.
 By site-directed mutagenesis, we inspected Neanderthal amino acid residues that differ from the DPB1*0401 allele and aimed to determine whether matched heterodimers are formed by assembly of DPβ mutants with DRα.
 Because the *0401 allele is rare in the sub-Saharan population but frequent in the European population, it may have arisen in modern humans by admixture with Neanderthals in Europe.
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  Bioquicknewsの紹介記事です。

  ネアンデルタール人の骨から重要な免疫遺伝子発見

  ドイツのBonn Universityの研究グループと国際的な共同研究チームが、新しい受容体を発見した。現代人類が持っているこの受容体は危険な侵入物を判定し、免疫反応を発揮するために重要な器官である。この有益な器官の青写真はネアンデルタール人の骨のゲノムからも見つかっており、その起源がうかがわれる。この受容体が初期の人類に風土病に対する免疫を与えた。しかも、初期の人間にこの受容体が見つからず、現代ヨーロッパ人からは見つかるということは、現代ヨーロッパ人がこの受容体をネアンデルタール人から受け継いだ可能性を示している。この研究論文は、2013年11月8日付「Journal of Biological Chemistry」オンライン版に掲載されている。

  病原体が人体に感染すると、免疫系が危険な侵入物を判定し、これを攻撃する。進化の過程で効果的な防衛機能が発達したが、これは諜報機関員の方法とやや似たところがある。ヒト白血球抗原 (HLA) 系は、特定の遺伝子の助けを借りて受容体を作り、その受容体がアミノ酸8個からなるプロフィールを使って病原体の危険度を評価する。

  University of Bonn, Department of Immunobiology, Institute for Geneticsの教授を務めるDr. Norbert Kochは、「この機能は、スパイが単語のごく少数の文字からその文を怪しいと判断することに似ている」と述べている。このメッセージを解読するため、免疫系は侵入者のタンパク質をペプチドに分解し、さらにそのペプチドの一部をスキャンしてアミノ酸の配列を調べることもする。

  これまでのところ、3種類のペプチド受容体が1000を超える発現形態を示すことが知られており、これが病原体の身元証明になる文字組み合わせを読み取る機能を果たしている。Professor Kochは、「免疫系が人体に害をもたらす病原体スペクトラム全体のリスク評価をするためにはこのような幅広い発現が必要になる」と述べている。

  University of Bonnの免疫生物学者らが指導する、University of Dusseldorf、Technical University of Munich、Jacobs University Bremen、Cambridge Universityの国際的研究チームの手でさらに4番目の受容体が突き止められた。この受容体は、すでに知られている受容体の構成部分の組み合わせでできており、"HLA-DRaDPb”という略称で呼ばれている。

  研究者チームは、発見された受容体をエンコードしている遺伝子塩基配列をデータベースと比較し、ヨーロッパ人の3人に2人はこの重要な器官を持っていると推定している。Professor Kochの学生の一人がProfessor Koch自身のDNAのシーケンシングを試し、この受容体の青写真を持っていることを突き止めている。

  ところが、人類発祥の地と知られているアフリカの南部の住民の間ではこの受容体をつくるのに必要な遺伝子塩基配列が非常にまれであることを知って研究者らは驚いた。Professor Kochは、「現代人類の祖先にあたる初期の人間が何十万年か前にアフリカからヨーロッパに移動してきた頃にはまだこの受容体を持っていなかった」と述べている。

  2010年、ライプツィッヒ所在Max Planck Institute for Evolutionary Anthropologyの教授を務めるDr. Svante Paaboが指導してネアンデルタール人のゲノムのシーケンシングを行い、発表した。さらに、研究グループは、初期人類の一グループであるネアンデルタール人が受容体の青写真になる基本的な遺伝子塩基配列を持っていたかどうかを調べた。

  この実験的な作業で主要な役割を果たしたDr. Sebastian Temmeは、University of Dusseldorfの同僚と協力し、ネアンデルタール・データベースから入手した骨の小片からネアンデルタール人のゲノム塩基配列を解析、編集した。

  Professor Kochは、「ネアンデルタール人の遺伝子塩基配列は現代人類のそれとほぼ同一だ」と述べている。ネアンデルタール人は何十万年もヨーロッパに生活し、その間に様々な病原体に対する免疫をつけるHLA受容体を発達させたものと考えられる。

  このことはアフリカを起源とする現代人類の先祖と違って、ヨーロッパに住んでいたネアンデルタール人がその免疫細胞中にこの受容体を持っていたことを意味する。Professor Kochは、ヨーロッパの現代人がこの優れた受容体を獲得できたのはネアンデルタール人のおかげだと考えており、「紛れもなく進化の過程で得られた優位性」だと述べている。画像はHLA抗原。




以上

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  本論文の中のわかりやすい第8図、"DPB対立遺伝子およびリース/GGPMモチーフの世界的な分配"をご紹介します。

  地図は、非移動性の集団(つまり先住民と、移住してきたが定住して長い期間が経つ住民のこと)を基本にして、DPB対立遺伝子0101、0201、0301および0401の対立遺伝子頻度を表示します。 赤が高頻度、青は低頻度(地図間の頻度間隔・スケールは同じではない)。
  D図の DPB1*0401対立遺伝子は、サハラ以南のアフリカにおいて比較的まれだが、北欧の集団になるほど高頻度になる。
  ネアンデルタールはLys-69とGGPM-(84-87)の両方を運びます、そして利用可能なシーケンスに関する単一の残留物によって現代人のDPB1とは異なります。
  つまりLys-69およびGGPM-(84-87)は現代人の他の対立遺伝子とは独立して生じたのです、それはそれらの配置の起源の解釈を決定することを困難にします。(つまり現代人起源ではなく、ネアンデルタール人起源、ということ)
































































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  わかりにくい説明なのですが、どうやら他の対立遺伝子はホモサピエンスの起源がアフリカであることと矛盾しないが、D図の「0401」対立遺伝子のみは現在アフリカ南部に住むホモサピエンスの起源遺伝子集団Y-DNA「A」と「B」が分布する地域では低く、それに対し出アフリカ組が居住する地域では高く、出アフリカしなかったY-DNA「A」,「B」やmtDNA「L」などの「非出アフリカ組」ホモサピエンス起源では説明出来ない、と説明しているのです。

  しかもこの対立遺伝子はネアンデルタール人から見つかったことから、出アフリカしたホモサピエンスが中東やヨーロッパでネアンデルタール人と密に交配し獲得し、更にインド亜大陸から移動してきたY-DNA「I」のクロマニヨン人が絶滅寸前のネアンデルタール人からしっかりとこの免疫システムを受け継ぎ、子孫のノルマン人が多く居住する北欧ほど頻度が高くなる結果となっている、と言いたいようです。

  また、もうひとつ重要なことは、アフリカ全体を見てもY-DNA「E」が分布をするところも「低め」、Y-DNA「J」のセム系が居住する北アフリカは「高め」になっています。そして実は日本も「低め」になっています。

  これは何を意味するのかは、明白で、ネアンデルタール人と交配しY-DNA「B」から分化したY-DNA「DE」と「CF」のうち、「DE」はネアンデルタール人とから受け継いだ形質が低く、「CF」は高かった事を意味しています。勿論縄文型のmtDNA「M*」や「M7」「M8」M9」などのアジア型mtDNA「M」系統もネアンデルタール人から受け継いだ形質が低かったことを意味するでしょう。

  縄文型と同じmtDNA「M」系列が多い南米も低いようです。Y-DNA「E」のアフリカ系が多いアメリカ南部も同じく低くなっています。

  出アフリカした中東でホモサピエンスのY-DNAが「DE」と「CF」に、mtDNAが「M」と「N」に分化した最大の要因が、ネアンデルタール人との交配により受け継いだ形質の程度によるものであることは現在の世界の研究報告をまとめると最も合理的な説明になります。



以上

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