17-14. 男女に分化する思春期のタイミングを左右する遺伝子に新たな知見

  BioQuicknewsで、思春期が来るタイミングと男と女の違いが発現する機序の解明 に関する極めて面白い論文が紹介されました。

  タイトルは、Timing Mechanism of Sexually Dimorphic Nervous System Differentiation. (性的に二形な神経系分化のタイミング・メカニズム)です。興味のある方は後述のeLifeに掲載された原著をお読みください。

  Sexually Dimorphic=性的な二形分化とは、基本的に「性」がオス・メスの2つの型に分かれることを言います。(両性具有もありますが。 生物はバクテリア時代にはもともとメス型の単性生殖だったわけですが、オス型が追加され多様性が一気に高まり、億年単位の経過を経て人類まで たどり着いたわけです。ところが性の分化機序とオスの発現機序は、虫に進化してから人類に至るまで同じ分子機構が働いていることは既知の 事実になっていますが、今回の論文でオス型が完成する機序が解明されたというのです。
  当記事14-2.で、男性のミトコンドリアDNAは受精の過程でゴミとして廃棄処分になる論文の成果をご紹介しましたが、 オスという性は、基本に単性生殖から両性生殖に進化した時に、それまであった単性型(それをメスと定義するようになった)であるメスに、 後から付け足された存在にすぎないことが本論文でも良くわかります。

当記事17-6.で、
  性的な二形分化(Sexually Dimorphic=男と女の2型に分かれること)が完成するには次の3段階がある、と紹介しました。

1.精子の段階で既にオスメスがあり、オス型精子が受精すれば男性になり、
  メス型精子が受精すれば女性になり、順調に進めば大半の人類はこれで
  男女の二形分化は進み、誕生時と思春期を経て分化は完成するはずなの
  ですが。。。。

2.誕生後幼児期に、心の分化をコントロールするのがエピジェネティクスらし
  い。ところが性分化に関するエピマークは受け継がれず、受精でいったん
  リセットされ、男の子は男としての異性の好み、女の子は女としての異性の
  好みが改めて発現するようにコントロールされているそうです。ところが突然
  変異でその「コントロール機能が不全」になり正しく働かなくなると、
  男の子に母の異性の好み(つまり男性が対象)が、女の子に父親の異性の
  好み(つまり女性が対象)が受継がれてしまう場合が生じ、成長時に同性愛
  になってしまうことが記事17-6.の研究で明らかになっています

そして今回、性の分化の仕上げである、思春期の分化の発現機序が解明されたそうです。
3.思春期の性の分化は、なんと虫から人類まで共通の同じ分子機構が存在し、
 ・let-7、lin-28とlin-41の3種類の遺伝子が、性成熟(思春期を通って大人にな
  ること)する時期を規制している。
 ・lin-28が過剰発現すると、思春期の開始が遅れる。
 ・若いときはlin-41が活発に働き、オスのみに存在するlin-29Aを抑制し、オス
  としての成熟時期を決めている。
 ・性成熟する時にlin-29Aが性特定的なニューロン回路のスイッチをONにする
  とオスに特有の特徴を持つ行動をするようになる。
 ・ところが、lin-29Aが欠損していると外見は明らかにオスだが、行動はメス化
  する。というより、生物本来は「メス」型であり、「オス」型という行動様式
  が追加されて、初めてオスとして完成するということなのです。しかし一方
  メスでlin-29Aが存在したとしても、行動がオス化するための神経回路が存在
  しないためオス化する可能性は低いでしょう。

  つまり外見が男なのに、行動が女性化する原因が、思春期にオス固有の行動をもたらす
(追加する)lin-29A遺伝子の欠損である事が解明されたのです。 これは生物はもともと単性生殖で、生命の多様性をもたらすために、 「オス」という新たな性が追加で生み出されたため、わざわざ「オス」を発現させるためにlin-29Aが働くようになったが、 その肝心のlin-29Aが欠損すると本来の「メス」の発現段階だけで終わるという、意外にシンプルな機序のようです。

  これはいわゆる「同性愛」と「行動の女性化」は遺伝子の作用機序が異なることを説明しており、 行動が女性化した男性が同性愛になるのではないことを意味しています。両方の変異が同時に起こる事は否定できませんが。
  いずれにせよ遺伝情報が正しく働かない事態が起きていることは共通しています。 しかしこの発現不全が、突然変異なのか、疾病なのか、なんなのかは今後の研究が必要です。

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Timing mechanism of sexually dimorphic nervous system differentiation

Laura Pereira, Florian Aeschimann, Chen Wang, Hannah Lawson, Esther Serrano-Saiz, Douglas S Portman, Helge Groshans, Oliver Hobert
eLife, Research Article Jan 1, 2019

Abstract
The molecular mechanisms that control the timing of sexual differentiation in the brain are poorly understood. We found that the timing of sexually dimorphic differentiation of postmitotic, sex-shared neurons in the nervous system of the Caenorhabditis elegans male is controlled by the temporally regulated miRNA let-7 and its target lin-41, a translational regulator. lin-41 acts through lin-29a, an isoform of a conserved Zn finger transcription factor, expressed in a subset of sex-shared neurons only in the male. Ectopic lin-29a is sufficient to impose male-specific features at earlier stages of development and in the opposite sex. The temporal, sexual and spatial specificity of lin-29a expression is controlled intersectionally through the lin-28/let-7/lin-41 heterochronic pathway, sex chromosome configuration and neuron-type-specific terminal selector transcription factors. Two Doublesex-like transcription factors represent additional sex- and neuron-type specific targets of LIN-41 and are regulated in a similar intersectional manner.

以上
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