17-2. ミトコンドリアの起源は海洋

  Molecular Biology and Evolutionにミトコンドリアの起源となる微生物は海洋起源であることが報告されていました。Bioquickニュースの日本語訳も転載します。
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Independent Genome Reduction and Phylogenetic Reclassification of the Oceanic SAR11 Clade

Johan Viklund1, Thijs J.G. Ettema1 and Siv G.E. Andersson

Abstract

The SAR11 clade, here represented by Candidatus Pelagibacter ubique, is the most successful group of bacteria in the upper surface waters of the oceans. In contrast to previous studies that have associated the 1.3 Mb genome of Ca. Pelagibacter ubique with the < 1.5 Mb genomes of the Rickettsiales, our phylogenetic analysis suggests that Ca. Pelagibacter ubique is most closely related to soil and aquatic Alphaproteobacteria with large genomes. This implies that the SAR11 clade and the Rickettsiales have undergone genome reduction independently. A gene flux analysis of 46 representative alphaproteobacterial genomes indicates the loss of more than 800 genes in each of Ca. Pelagibacter ubique and the Rickettsiales. Consistent with their different phylogenetic affiliations, the pattern of gene loss differs with a higher loss of genes for repair and recombination processes in Ca. Pelagibacter ubique as compared to a more extensive loss of genes for biosynthetic functions in the Rickettsiales. Some of the lost genes in Ca. Pelagibacter ubique, such as mutLS, recFN and ruvABC, are conserved in all other alphaproteobacterial genomes including the small genomes of the Rickettsiales. The mismatch repair genes mutLS are absent from all currently sequenced SAR11 genomes and also underrepresented in the global ocean metagenome dataset. We hypothesize that the unique loss of genes involved in repair and recombination processes in Ca. Pelagibacter ubique has been driven by selection and that this helps explain many of the characteristics of the SAR11 population, such as the streamlined genomes, the long branch-lengths, the high recombination frequencies and the extensive sequence divergence within the population.
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  海洋バクテリアがミトコンドリアの起源

    地球上で最も数奇な運命を辿ったバクテリアは海洋に由来し、SAR11グループに属すると考えられてきた。スウェーデンのアップセラ大学の研究者グループが行なった最新の研究によって「数奇な運命」の内容が明らかにされると共に、これらのバクテリアについて従来認められてきた理解の概要に疑問が呈される事となった。彼らの解析によると、新たにこれまで発見されていなかった貴重なミトコンドリアの仲間も同定された。ミトコンドリアは細胞内の発電所の役目を果たしている。この発見はMolecular Biology and Evolution誌の2011年9月7日号とPloS ONE誌の2011年9月14日号とに発表された。

  「海から発見される膨大なるDNAの情報により、これまでに研究できなかった世界が少し垣間見る事ができた 。これらのデータから生命の根本的な疑問の答えを見つけるのは非常に素晴らしい。」と分子遺伝学教授で本研究の上席著者であるシブ・アンダーソン博士は話す。SAR11グループに属するバクテリアは海中のバクテリア数の30-40%を占めるため、地球規模炭素循環には重要な役目を担っている。他の場所では、このバクテリアのグループは存在しない。外洋は栄養に乏しいため、SAR11は細胞内に栄養分を少しでも貯め込むために細胞サイズは大変小さくなっている。ゲノムサイズも小さく、1,500個以下の構成要素しか持たず、これまでの研究ではSAR11は発疹チフス菌を含むバクテリアのグループの仲間であると考えられていた。これらのバクテリアは確かにゲノムサイズは小さいが、ヒト、動物、昆虫などに適合する。しかし、アップセラの研究グループによる進化に関わる新たな研究結果はこれらの見解と異なっており、SAR11バクテリアは、海洋そして陸地に生息する3-10倍大きなバクテリアから進化したと考えられる。

     最も近縁のバクテリア種と異なり、SAR11バクテリアはDNA損傷を修復するのに重要と考えられている遺伝子を欠損している。この事が「数奇な運命」を辿る事になった理由の説明となる。「遺伝子の欠損によって、このバクテリアは遺伝子の交換を互いに素早く行う事が容易になったと思われます。それによって栄養分や温度の変動、そしてUV照射にも適応しながら海洋で速やかに広がったと考えられます。」と分子進化学部の博士号候補生であるヨハン・ヴィクランドは説明する。

  アップセラの研究グループは、現在進行中の、全ての海洋バクテリアのDNAを調査する国際プロジェクトから得られたデータを解析し、糖類を二酸化炭素と水とに分解する細胞呼吸に関与するタンパクをコードする遺伝子配列を発見している。そしてこれらのタンパクに対応する、ヒト・動物・昆虫のミトコンドリアに存在する細胞呼吸に関与するタンパクを比較検討し、貴重な未知のバクテリアをなんとか同定しようとしている。「これらのバクテリアはミトコンドリアと極めて類似しています。私達の知見は即ち、ミトコンドリアの起源は海洋であり、但し最も近縁なバクテリアは、これまで考えられてきたようにSAR11グループに関係していないという事なのです。」と研究グループのポスドクであるシーズ・エテマ博士は説明する。
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  これは極めて重要な発見です。電子顕微鏡の研究者だった昔に筋ジストロフィーの患者さんのミトコンドリアを観察しましたが、ミトコンドリア内に結晶ができ、エネルギー生産をすることができなくなり、筋肉は萎縮し動けなくなることが、25年以上も前からわかっていました。また同時にミトコンドリアの起源は「共生」した微生物であることも当時から言われていました。

  この元々共生した微生物であるためミトコンドリアは自身のDNAを持ち人体のDNAとは独立して遺伝されるのです。しかも母親由来であるため分子遺伝学上では母系の系統を調査する最適な指標となっています。エネルギー生産を役割とする器官となったため、エネルギーを必要とする運動系のアスリート能力は母系遺伝となります。アスリートの母親のエネルギー生産能力は子供に期待通り遺伝しますが、父系のエネルギー生産能力は残念ながら子供に全く遺伝しません。つまり母親がエネルギーを必要とするアスリートなら子供も同様のアスリートになる素質は持って生まれます。

  人体への共生では他に遺伝子上に組み込まれている人類の過去の感染を物語るレトロウイルスの共生があります。「破壊する創造者」では人類はこれまでに相当な種類のレトロウイルスに感染し共生状態にあることは詳しく説明されています。遺伝子ハプロタイプの分化の一因にもなっている可能性が大です。最も有名な例は当ブログの記事75でも触れたHTLV-1です。全世界で問題になっているエイズウイルスもレトロウイルスです。レトロウイルスは生き延びるため「感染」という行為を行います。残念ながら弱い人間個体は死に至りますが、多くの人間はウイルスと共存することができ人類の遺伝子に組み込まれてゆきます。これが共生です。レトロウイルス自身が生き延びるためには「共存」しなければならないため、人間個体を生かさなければならないのです。死なれては困るのです。だから遺伝子に組み込まれ共生状態になるのです。しかし何らかの環境になるとウイルスは共生状態から突然「発現」し病気を引き起こします。発現のメカニズムはかなり研究が進んでいますが、今後研究レベルはもっと深まって行くことでしょう。



以上

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