17-6. エピジェネティクスの研究で同性愛の遺伝突き止める!

  Quarterly Review of Biology誌の12月11日号に、このガラパゴス史観でも取り上げているエピジェネティクス(後天的獲得形質=新ラマルクの進化論)のアプローチで 何と同性愛になるメカニズムが付きとめられたのだそうです。BioQuickニュースの紹介記事と併せご紹介します。
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AHomosexuality as a Consequence of Epigenetically Canalized Sexual Development

The Quarterly Review of Biology Vol. 87, No. 4, December 2012

William R. Rice, Urban Friberg and Sergey Gavrilets
Department of Ecology, Evolution and Marine Biology, University of California Santa Barbara, California 93106 USA

Abstract

Male and female homosexuality have substantial prevalence in humans. Pedigree and twin studies indicate that homosexuality has substantial heritability in both sexes, yet concordance between identical twins is low and molecular studies have failed to find associated DNA markers. This paradoxical pattern calls for an explanation. We use published data on fetal androgen signaling and gene regulation via nongenetic changes in DNA packaging (epigenetics) to develop a new model for homosexuality. It is well established that fetal androgen signaling strongly influences sexual development. We show that an unappreciated feature of this process is reduced androgen sensitivity in XX fetuses and enhanced sensitivity in XY fetuses, and that this difference is most feasibly caused by numerous sex-specific epigenetic modifications (“epi-marks”) originating in embryonic stem cells. These epi-marks buffer XX fetuses from masculinization due to excess fetal androgen exposure and similarly buffer XY fetuses from androgen underexposure. Extant data indicates that individual epi-marks influence some but not other sexually dimorphic traits, vary in strength across individuals, and are produced during ontogeny and erased between generations. Those that escape erasure will steer development of the sexual phenotypes they influence in a gonad-discordant direction in opposite sex offspring, mosaically feminizing XY offspring and masculinizing XX offspring. Such sex-specific epi-marks are sexually antagonistic (SA-epi-marks) because they canalize sexual development in the parent that produced them, but contribute to gonad-trait discordances in opposite-sex offspring when unerased. In this model, homosexuality occurs when stronger-than-average SA-epi-marks (influencing sexual preference) from an opposite-sex parent escape erasure and are then paired with a weaker-than-average de novo sex-specific epi-marks produced in opposite-sex offspring. Our model predicts that homosexuality is part of a wider phenomenon in which recently evolved androgen-influenced traits commonly display gonad-trait discordances at substantial frequency, and that the molecular feature underlying most homosexuality is not DNA polymorphism(s), but epi-marks that evolved to canalize sexual dimorphic development that sometimes carryover across generations and contribute to gonad-trait discordances in opposite-sex descendants.
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  BioQuickニュースの紹介記事です。

  "エピジェネティクスの研究で同性愛の遺伝突き止める 2013-1-23 8:00 "

  同性愛が遺伝的なものであることは知られていたが、なぜどのようにして遺伝するのかが分からなかった。しかし、エピジェネティクスの研究で、エピマークと呼ばれる、 遺伝子の発現を制御する一時的遺伝子スイッチが、同性愛の発生に大きく関わっていながらこれまで見過ごされてきたという説が発表された。 2012年12月11日付「Quarterly Review of Biology」オンライン版に掲載された研究論文は、性に関わるエピマークは通常は世代間で遺伝せず、 従って、世代ごとに「消去」されるはずだが、間違って消去されずに父から娘に、または母から息子に遺伝してしまうと同性愛になるのではないかとしている。

  進化論の立場から言うと、同性愛の遺伝はダーウィンの自然淘汰の原則からはずれ、成長することも生き残ることもできないはずだが、 同性愛そのものはほとんどどの文化の男または女の間でごく一般的に見られる。また、これまでの研究で、同性愛者が多く生まれる家族があることが判明しており、 性的嗜好を決める遺伝子があるものと考えられてきた。

  ところが、同性愛の遺伝学的関係を探す研究が数多くなされてきたにもかかわらず、同性愛の遺伝子として主要なものがまだ見つかっていない。 現在の研究では、National Institute for Mathematical and Biological Synthesis (NIMBioS、国立数学・生物学統合研究所) のゲノム内コンフリクト研究作業グループの研究者が、 進化論に、遺伝子発現の分子調節研究やアンドロゲン依存性性分化研究の最近の成果を統合することで同性愛の発生におけるエピジェネティクスの役割を説明する生物数理的モデルを創りあげた。

  エピマークは遺伝子の骨格に添付された情報の層ともいうべきもので、これが遺伝子の発現を制御する。遺伝子には命令情報が書き込まれているが、エピマークは、 この命令情報をどのようにして実行するか、成長の過程で、いつ、どこで、どこまで遺伝子が発現するかを決定する。

  通常、エピマークは親から子に受け継がれず、世代ごとに新しくつくり出されるが、最近の研究で、時たま世代間で受け継がれてしまうことが突き止められている。 近親者間の形質の類似性が共通する遺伝子によるものであるのと同じように、共通するエピマークによるものという場合もあることになる。 胎児の発育初期に作られる性特有のエピマークは、その後の性分化時に母体内のテストステロン量の自然的な変動が大きくなってもその影響を受けないように守る働きがある。

  性特有のエピマークは、胎児が女の子の場合には、母体のテストステロン量が異常に高くなっても男性化することを防ぎ、胎児が男の子の場合には、その逆で、 テストステロン量が異常に低くなっても女性化することを防いでいる。異なるエピマークが胎児の異なる性的特徴の男性化や女性化を防いでおり、 あるエピマークは生殖器を制御し、あるエピマークは性同一性を、あるエピマークは性的対象の好みを制御する。

  ところが、エピマークが父から娘に、あるいは母から息子に受け継がれてしまうと逆の結果になってしまう。息子の性的対象の好みなど一部の性的特徴が女性化してしまい、 同じように娘の場合にも一部の性的特徴が男性化してしまうことになる。この研究は同性愛の進化論的な謎を解いている。 通常、胎児の発育期に、性ホルモン量が自然に変動する影響から守るはずの「性的拮抗」エピマークが消去されずに世代間に受け継がれてしまうと異性の子が同性愛者になるのである。

  この数理的モデルで、このようなエピマークの遺伝子コーディングが容易に人口の間に広まることが実証された。 なぜなら、そうすることで子供を作る適応度が高まるが、そのエピマークが消去されずに子供に受け継がれ、子供の適応度が損なわれるケースはめったにないからである。

     "この研究論文の共同執筆者で、NIMBioSの科学活動アソシエート・ディレクターとテネシー大学ノックスビル校教授を兼任するSergey Gavrilets博士は、 「性的拮抗エピマークの世代間伝達は、人の同性愛という現象を進化論の機序で説明する説得力のある説だ」と述べている。
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  *ガラパゴス史観注:

     この記事の意味するところはかなり奥が深いです。最新の進化論から当ガラパゴス史観は進化の要因として4つ目にエピジェネティクスを挙げていました。 そしてエピジェネティクスは遺伝子そのものが変異するのではなく遺伝子の発現の仕方が変化し、その変化が遺伝する、というものでした。 例えば色白とか赤毛・碧眼、高身長、彫深顔等はネアンデルタール人がヨーロッパ大陸やアジア大陸で数十万年かけて獲得していた高緯度地適応の後天的獲得形質を 交配で一気に獲得した形質、一重瞼やフラットフェースはシベリアの寒冷地や黄砂の悪環境下でホモサピエンスが後天的に獲得した形質です。

  つまりエピジェネティクス(後天的獲得形質)は遺伝するのですが、性に関するエピジェネティクスは本来遺伝せずに一代限りで消滅し次世代で新たに発現するはずのものだそうです。 ところが消滅せずに受け継がれてしまうというという予測しないことが起き「父親から娘」或いは「母親から息子」に受け継がれてしまうと「娘は女性が性の対象になり」 「息子は男性が性の対象になる」のだそうです。しかも家系的に出やすいということは「遺伝する」と言うことです。

  またエピマークによっては性同一性を制御しているらしいので、このエピマークに問題が起れば性同一性障害を引き起こす要因の一つになるのでしょう。

  さらにこの研究結果の「性特有のエピマークは、胎児が女の子の場合には、母体のテストステロン量が異常に高くなっても男性化することを防ぎ、 胎児が男の子の場合には......」から容易に推察できることは、母体のテストステロン(男性ホルモン)が増えても性別や外観の男性化は防げるのだが、 心の男性化は防ぐことはできないようなのです。つまり性同一性障害が生じるのです。性別や外観は女性でも心は男性になるのです、 そして当然逆の場合もあるのです。そこまで行かなくても当然ながら男まさりの肉食系の女性、草食系の男性になり易いということです。これは非常に納得できます。

  最近の肉食系女性の増加、草食系男子の増加は、何らかの環境因子やストレス因子が働き遺伝子の発現をコントロールするエピジェネティクスに異常が多くなっているのかもしれませんね。

  昔習った性の分化の要因では、

  ・精子の段階で既にオスメスがありオス型精子が受精すれば男になりメス型精子が受精すれば
    女性になるのだが、それは外見だけで、
  ・誕生後幼児期と
  ・思春期に正しく分化が行われないと内面の分化が完成しない、
  というものでした。この誕生後の分化をコントロールするのがエピジェネティクスだとすると非常に納得できますが、 問題はエピジェネティクスは獲得形質なので定義ではコントロール機構は遺伝するはずなのです。

  ところが性分化に関するエピマークは受け継がれない、つまり遺伝しない、ということなので不思議なのですが、家系的に同性愛が出現することがわかっているということは、 「コントロール機能の異常化」というエピジェネティクスが遺伝する、と考えれば納得できそうです。

  いずれにしても当人の苦悩は相当なものでしょう。人間はどうしても外見でほとんどの判断をするように進化してきた動物なので、 見かけと違うことに異和感を持ってしまうのです。将来異常なエピジェネティクスを逆にコントロールすることが出来るようになる日が来るかもしれませんが、 ips細胞でも性の分化の内面の問題には対処できないでしょう。

  このテーマは同性愛大国アメリカのオバマ大統領が2期目の就任演説であえて触れたようにあまりに奥が深すぎるのでここまでです。

  しかしエピジェネティクスが進化要因になるだけでなく、このような性に関する深刻な問題を引き起こすことがあると言うことは驚きでした。

 

以上

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