17-7. 細胞核のDNAとミトコンドリアのDNAは共進化してきたそうです

  PLOS Genetics誌の1月31日号に、核とミトコンドリアは10億年もの間共進化をしておりこのガラパゴス史観の調査対象である核DNAとmtDNAの突然変異は単独なら問題ない場合でも 同時に起る際に変異の違いが原因で疾病が生じる場合があることをヌクレオチドのレベルで解明したそうです。BioQuickニュースの紹介記事と併せご紹介します。
=================================
An Incompatibility between a Mitochondrial tRNA and Its Nuclear-Encoded tRNA Synthetase Compromises Development and Fitness in Drosophila

PLoS Genet 9(1) January 31, 2013

Colin D. Meiklejohn, Marissa A. Holmbeck, Mohammad A. Siddiq, Dawn N. Abt, David M. Rand, Kristi L. Montooth

Abstract

Mitochondrial transcription, translation, and respiration require interactions between genes encoded in two distinct genomes, generating the potential for mutations in nuclear and mitochondrial genomes to interact epistatically and cause incompatibilities that decrease fitness.
Mitochondrial-nuclear epistasis for fitness has been documented within and between populations and species of diverse taxa, but rarely has the genetic or mechanistic basis of these mitochondrial?nuclear interactions been elucidated, limiting our understanding of which genes harbor variants causing mitochondrial?nuclear disruption and of the pathways and processes that are impacted by mitochondrial?nuclear coevolution.
Here we identify an amino acid polymorphism in the Drosophila melanogaster nuclear-encoded mitochondrial tyrosyl?tRNA synthetase that interacts epistatically with a polymorphism in the D. simulans mitochondrial-encoded tRNATyr to significantly delay development, compromise bristle formation, and decrease fecundity.
The incompatible genotype specifically decreases the activities of oxidative phosphorylation complexes I, III, and IV that contain mitochondrial-encoded subunits.
Combined with the identity of the interacting alleles, this pattern indicates that mitochondrial protein translation is affected by this interaction.
Our findings suggest that interactions between mitochondrial tRNAs and their nuclear-encoded tRNA synthetases may be targets of compensatory molecular evolution.
Human mitochondrial diseases are often genetically complex and variable in penetrance, and the mitochondrial?nuclear interaction we document provides a plausible mechanism to explain this complexity.

Author Summary

The ancient symbiosis between two prokaryotes that gave rise to the eukaryotic cell has required genomic cooperation for at least a billion years.
Eukaryotic cells respire through the coordinated expression of their nuclear and mitochondrial genomes, both of which encode the proteins and RNAs required for mitochondrial transcription, translation, and aerobic respiration.
Genetic interactions between these genomes are hypothesized to influence the effects of mitochondrial mutations on disease and drive mitochondrial?nuclear coevolution.
Here we characterize the molecular cause and the cellular and organismal consequences of a mitochondrial?nuclear interaction in Drosophila between naturally occurring mutations in a mitochondrial tRNA and a nuclear-encoded tRNA synthetase.
These mutations have little effect on their own; but, when combined, they severely compromise development and reproduction.
tRNA synthetases attach the appropriate amino acid onto their cognate tRNA, and this reaction is required for efficient and accurate protein synthesis.
We show that disruption of this interaction compromises mitochondrial function, providing hypotheses for the variable penetrance of diseases associated with mitochondrial tRNAs and for which pathways and processes are likely to be affected by mitochondrial?nuclear interactions.
=================================

  BioQuickニュースの紹介記事です。

  "細胞核とミトコンドリアのDNAの異なる突然変異による相互作用 2013-1-31"

  植物、動物の細胞には2つのゲノムがある。一つは細胞核に、もう一つはミトコンドリアに含まれている。 それぞれゲノムで突然変異が起きた場合、互いに異なる配列の変異を呈し、それが原因で病気になる場合がある。 最近、ブラウン大学とインディアナ大学の科学者チームが、その病気をさらによく知るため、ショウジョウバエを対象として、個々の間違ったクレオチドやショウジョウバエが発病する機序までを研究した。 単一のゲノムの突然変異による発病だけでも十分に複雑だが、核のDNAとミトコンドリアのDNAという2つのゲノム同士の相互作用の間違いで引き起こされる病気もある。

  科学者は、そのようなゲノム同士の変異の違いが原因で発病する過程を調べようと考えた。そこで、ブラウン大学とインディアナ大学の科学者チームは、 ショウジョウバエのゲノムが異なる配列の突然変異を引き起こす過程を個々のヌクレオチドの突然変異の水準まで追求し、二つの遺伝子の同時的な突然変異でショウジョウバエが発病する機序を突き止めた。 ブラウン大学の生物学教授で、この研究論文の筆頭著者でもあるDr. David Randは、「この機序は人間の病気にもあてはまるが、この2つのゲノムはすべての動物、植物に存在するため、 すべての有機体にあてはまるというべきだ」と語っている。この研究論文は、「PLOS Genetics」の2013年1月31日付オンライン版に掲載された。博士はさらに、 「ミトコンドリアを原因とする代謝病がたくさんあり、いずれも固有の遺伝的痕跡を示している。これは2つに分けて考えた方がいいかも知れない」 と述べている。

  5年前、Dr. Randと、2人の博士研究員、1人はブラウン大学とインディアナ大学のDr. Colin Meiklejohn、もう1人は現在インディアナ大学で准教授を務める Dr. Kristi Montoothの3人が、研究の手頃なたたき台としてショウジョウバエを対象にした。まず3人は、進化過程で自然な突然変異を続ける異なる系統、 異なる種のハエのミトコンドリアと細胞核のゲノムを何通りにも組み合わせ、どのような問題が起きるかを観察した。その結果、オナジショウジョウバエ (Drosophila simulans) の “simw 501”ミトコンドリアDNAを、“Oregon R” 細胞核DNAを持ったキイロショウジョウバエ (Drosophila melanogaster) に導入すると問題が起きた。 この組み合わせのショウジョウバエは生き延びたが様々な問題を抱えていた。真っ先に目につく欠陥は、背中のヒゲ状の剛毛が正常な個体の半分ほどの長さしかなかった。 また、このようなハエは成長も遅れ、繁殖の効率も悪く、疲れるのも早かった。細胞のエネルギー源がミトコンドリアであることを考えればこれは当然だった。

  研究論文の筆頭著者、Dr. Meiklejohnらのチームは、一旦、研究対象として正真のミトコンドリア-細胞核不一致を見つけると、次に、どこに不一致の原因があるのか、 どのように病気を引き起こすのかの研究に取りかかった。「PLOS Genetics」掲載論文で、チームはそれを突き止めるためにおこなった遺伝学的、生化学的実験について記述している。 論文の次席著者でブラウン大学院生Marissa Holmbeckは、ミトコンドリアのエネルギー生成過程中のいくつかの酵素の生産力を測定している。細胞核遺伝子のみに由来する2種類の酵素は、 病気のハエでも正常なハエでも同じように機能するが、ミトコンドリア遺伝子と細胞核遺伝子の双方に由来する3種類の酵素は不活発になっている。Holmbeck氏は、 「ミトコンドリアと細胞核のサブユニットとの双方からエンコードされている異なる複合体は機能不全が起きているが、実際には、個々の突然変異だけでは、 ハエにほとんど何の害ももたらさないようだ」と述べている。

  "それぞれの変異は単独では、実際ハエにほとんど或いは全く危害を加えません。 ハエが病気になるのは両方が同時に存在する場合だけだ。 一方、Dr. MeiklejohnとDr. Montoothは、その二つの突然変異を2種類のヌクレオチドの変異にまで追い詰めることができた−−各ゲノムに一か所ずつの突然変異がある。 ミトコンドリアのゲノムで、RNA内のGがUに突然変異し、ミトコンドリア内のタンパク生産に問題があることを示唆している。 このことは、チームが、この同じミトコンドリアRNAにアミノ酸を加える核タンパクにAからVへの突然変異が起きることを発見して確認された。 生化学的、遺伝学的な証拠から、病気の個体では、成長促進に必要なタンパクを作るミトコンドリアの能力に問題が起きていることが示されている。 Dr. Randは、「この研究論文の眼目は、DNAの突然変異と病気の関係を個々のヌクレオチドのレベルまで追いかけることにある。 しかし、一般的な教訓としては、このミトコンドリアと細胞核内の遺伝子の共進化は、何百万という有機体の中で何百万年もかけて進んできており、 現代の人間集団でも依然として進んでいる」と述べている。"

  人間の場合にはよく知られたミトコンドリア病として運動嫌いがあるが、これは、このチームがショウジョウバエで研究した同じミトコンドリアRNA遺伝子の突然変異によるものである。 現在、Dr. Randの研究チームは、単一種でのミトコンドリア-細胞核不一致をさらに遺伝学的、生化学的起源にまでさかのぼる新しい実験を進めている。 Dr. Randは、「この研究論文では、ミトコンドリア-細胞核非互換性を同定し、それをマップ化して、それぞれのヌクレオチドに対応させることができるという基本を証明している。 このことがどれほど一般的なのか、また、病気を引き起こすミトコンドリア-細胞核のやりとりが断絶する原因は他にはないのか? などまだ探求すべきことがいくつもある」と述べている。

  この研究論文には、Rand、Montooth、Meiklejohn、Holmbeck各氏の他、ブラウン大学のDawn Abt、インディアナ大学のMohammad Siddiq氏も名を連ねている。 画像で、やや暗い卵形の細胞核を包む明るい部分が、着色したショウジョウバエの卵細胞内のミトコンドリアの位置を示している。 ブラウン大学とインディアナ大学の研究者は、細胞核ゲノムとミトコンドリア・ゲノムの不一致のためにショウジョウバエが病気になる現象の遺伝学的、生化学的原因をたどっていった。 (出典: Rand lab/Brown University)。[ブラウン大学プレス・リリース] [インディアナ大学プレス・リリース] [PLOS Genetics article]
===================================

  オリジナル論文の上記サマリーは以下のようです!

  真核細胞を生じさせた2つの原核生物間の古代の共生は、少なくとも10億年間に渡る両ゲノム間の協力を要求してきました。 真核細胞は、それらの核ゲノムおよびミトコンドリア・ゲノムの調和された表現法を通して呼吸しています。 それらの両方は、ミトコンドリアの転写、翻訳および酸素呼吸に必要なタンパク質とRNAをコード化しています。 これらのゲノム間の遺伝的相互作用は疾病に対するミトコンドリア突然変異の結果に影響を及ぼし、かつミトコンドリア−核の共進化を駆動すると仮定されます。

  ここで我々は、ミトコンドリアtRNA中に自然に生じる突然変異と核でコーディングされたtRNA合成酵素の間で、 ショウジョウバエ中のミトコンドリア−核の相互作用の分子レベルの要因と細胞レベルと生物レベルの結果を特徴付けます。 これらの変化はそれ自身のみではほとんど効果がありません; しかし、組み合わせられた時、それらは発達と再生産を厳しく危険にさらします。 tRNA合成酵素はそれらの同系統のtRNA上に適切なアミノ酸を付加します。またこの反応は効率的で正確なタンパク質合成に必要です。

  我々はこの相互作用の崩壊がミトコンドリアの機能を危険にさらすことを示します。 ミトコンドリアtRNAとミトコンドリア−核の相互作用によって影響されそうな経路とプロセスによって結びつけられる疾病の変わりやすい浸透率 (遺伝学で、遺伝子型の変化が実際の表現型上の変化として現れる割合)のための仮説を用意します。

===================================

  この論文は理解が難しいのですが、どうやら、もともと原核生物時代に共生関係で出発し出来上がった細胞とエネルギー生産担当のミトコンドリアは、 10億年もの長い年月でお互い影響しあい共進化を遂げており互いに無関係に独立して進化し遺伝してきたのではないらしいのです。   このガラパゴス史観の調査対象としているY-DNAは細胞の核内のDNAのY染色体であり、mtDNAは細胞のミトコンドリア内の小さな環状DNAですが、 Y-DNAの分化とmtDNAの分化は全く無関係に生じてきたわけではないと言うことになるようです。関心のある方は是非原著をお読みください。

  紹介記事にもあった運動嫌いはミトコンドリア病の一つです。ミトコンドリアはエネルギー生産を一手に引き受けているためここに不都合があると エネルギーをうまく生産出来なくなり運動が不得手になります。記事2-3. 日本民族mtDNAハプロタイプ頻度リストでも書きましたが、運動選手のエネルギー能力はmtDNAで決まります。 持久力系のmtDNA「G」を持つ母親の家系は持久力競技により向いているようです。 しかし、瞬発力系のmtDNA「F」と「B」を持つ母親の家系は瞬発力競技により向いているようです。残念ながらいずれも父親のmtDNAは全く関係ないのです。 何故なら子供のmtDNAは母親からしか遺伝しないからです(記事14-2. 男系のmtDNAが遺伝しないのは? ”ゴミ”だからでした!を参照してください)。

  mtDNA「G」はmtDNA「M」系の中の「M12」系すなわちアジア系かつ縄文系と考えられます。それも古いタイプのアジア系です。 日本にはmtDNA「M7」,「M8」,M9」,「M10」の更に古いmtDNAもあるのですが、「G」は「M12」の子亜型で極東北アジアの極寒の地に分布した寒冷地適応型ハプロタイプなので 寒さに対する抵抗力が一段と強いようです。その分エネルギーを継続して生産する能力が高いのかもしれません。 mtDNA「F」と「B」はmtDNA「N」系の中の「R9」系と「R11」系です。mtDNA「N」系は欧米系mtDNAに分類されていますが、 「R」系はインド亜大陸で分化後西進せず逆に東進しアジアに拡散したY-DNA「O」のパートナーと考えられます。 特に「F」は現在の分布から推測すると弥生系Y-DNA「O2」のパートナーでしょう。 「B」は出シベリア後南北アメリカ大陸を縦断した大冒険遺伝子です。やはりY-DNA「O2」,「O1」等の弥生系のパートナーと考えられます。 武装侵攻集団のY-DNA「O3」は世界中の侵略者集団の例に違わず男系遺伝子Y-DNAのみが朝鮮半島を渡って日本列島に侵攻してきたと考えられることもありパートナーmtDNAはまだ推測できていません。 恐らく先住化していた縄文−弥生系のmtDNAをパートナー化したのではないかと考えられます。もう少しデータが必要ですね。

  また記事13-1. 破壊する創造者に書いたように当ガラパゴス史観が研究者だったころに手がけたある筋ジストロフィーの患者さんの筋肉中のほとんどのミトコンドリア内には 結晶(恐らくたんぱく質の)が出来るためにミトコンドリアはエネルギー生産をすることが出来なくなり筋肉が動かなくなってしまうことがやっとわかった頃でした。 またミトコンドリアは古代に共生した原核生物だとやっと理解され始めた頃でした。



以上

表紙に戻る

くりっく365とは   プロフィール  PR:無料HP  横手自動車学校  IT 専門学校  SSTツール  タイヤ 寿命  タイヤ プリウス 新品  ボーカロイド 専門学校  クルマパーツ  ふくやま自動車学校  パワーストーン  山梨 合宿免許  マーク2 中古  リノベーションセミナー