17-9. 遺伝子がオン・オフされる仕組みはエピジェネティクスらしい!

  Cell, Volume 153, Issue 5, 1134-1148, 09 May 2013に、遺伝子の発現をオンーオフする仕組みはエピジェネティクスだとアメリカNIH管轄の研究で解明されたようだ。 各研究機関に委託し4年の歳月をかけて研究・まとめられたらしい。

  ではCell誌の論文の紹介です。
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Epigenomic Analysis of Multilineage Differentiation of Human Embryonic Stem Cells

Cell, Volume 153, Issue 5, 1134-1148, 09 May 2013

Wei Xie, Matthew D. Schultz, Ryan Lister, Zhonggang Hou, Nisha Rajagopal, Pradipta Ray, John W. Whitaker, Shulan Tian, R. David Hawkins, Danny Leung, Hongbo Yang, Tao Wang, Ah Young Lee, Scott A. Swanson, Jiuchun Zhang, Yun Zhu, Audrey Kim, Joseph R. Nery, Mark A. Urich, Samantha Kuan, Chia-an Yen, Sarit Klugman, Pengzhi Yu, Kran Suknuntha, Nicholas E. Propson, Huaming Chen, Lee E. Edsall, Ulrich Wagner, Yan Li, Zhen Ye, Ashwinikumar Kulkarni, Zhenyu Xuan, Wen-Yu Chung, Neil C. Chi, Jessica E. Antosiewicz-Bourget, Igor Slukvin, Ron Stewart, Michael Q. Zhang, Wei Wang, James A. Thomson

Highlights

Epigenome was mapped in depth for hESCs and four hESC-derived cell types
Lineage-restricted genes and regulatory sequences were identified in these cell types
Distinct mechanisms regulate lineage-restricted genes at early and late stages
Developmental genes tend to reside in large genomic domains devoid of DNA methylation

Summary

Epigenetic mechanisms have been proposed to play crucial roles in mammalian development, but their precise functions are only partially understood.
To investigate epigenetic regulation of embryonic development, we differentiated human embryonic stem cells into mesendoderm, neural progenitor cells, trophoblast-like cells, and mesenchymal stem cells and systematically characterized DNA methylation, chromatin modifications, and the transcriptome in each lineage.
We found that promoters that are active in early developmental stages tend to be CG rich and mainly engage H3K27me3 upon silencing in nonexpressing lineages.
By contrast, promoters for genes expressed preferentially at later stages are often CG poor and primarily employ DNA methylation upon repression.
Interestingly, the early developmental regulatory genes are often located in large genomic domains that are generally devoid of DNA methylation in most lineages, which we termed DNA methylation valleys (DMVs).
Our results suggest that distinct epigenetic mechanisms regulate early and late stages of ES cell differentiation.

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  BioQuick Newsの紹介記事です。

  NIHのEpigenome Roadmap Projectに参加していた大規模な研究機関合同研究チームが、2013年5月9日付「Cell」オンライン版で、ヒトの胚の発達初期に遺伝子が オン・オフされる仕組みを発表した。

  Ludwig Institute for Cancer Research のDr. Bing Ren、The Salk Institute for Biological Studies のDr. Joseph Ecker、Morgridge Institute for ResearchのDr. James Thomsonらが 指導するこの研究チームは、これまで知られていなかった遺伝子の現象が胚の発生だけでなく、がんの発生にも重要なカギを握っていると述べている。4年以上の歳月をかけて行われた実験と 分析のデータは公開されており、事実上すべてのバイオメディカルの分野で大きく貢献することが予想される。

    ヒトの卵子は、受精すると卵割を繰り返し、免疫細胞からニューロンにいたるまで人体のすべての細胞を創り出す。その胚発生の過程で、各世代の細胞は全遺伝子のうち 特定の遺伝子のみを発現し、他の遺伝子の発現を抑制することで前世代の細胞とは異なる機能を発揮する。Ludwig Instituteのメンバーで、 UC San Diego SchoolのDepartment of Cellular and Molecular Medicine教授を務めるDr. Renは、「スケールの大きな遺伝子技術を用い、 胚細胞とそれに続く世代の細胞が体のどの部分を形成していくかを決め、その部分に落ち着いていく過程で、ゲノム全体の各遺伝子がどのようにオン・オフされるかを調べた」と述べている。

  細胞が遺伝子を制御する一つの方法がDNAのメチル化で、DNAを形成する4つの塩基の1つ、シトシンにメチル基と呼ばれる分子を付加する。もう一つの方法は、 ヒストンと呼ばれるタンパク質に様々な化学修飾を加える方法で、細胞核内でDNAはこのヒストンの周囲に巻きつく形で存在している。H3K27me3と呼ばれる抑制型の修飾では、 H3と呼ばれるタイプのヒストンにメチル基を3個付加するという過程を取っている。Dr Renは、「この2種類の『エピジェネティックな』修飾手段が機能に関して かなりの違いがあるということはあまり考えられていない」と述べている。ただし、現在進められている研究でそういう問題もかなり解消されることになる。

  研究チームは、エピゲノムと呼ばれるそのような修飾をゲノム全体にわたって解析した結果、胚発生初期を制御するマスター遺伝子は、H3K27me3ヒストン・メチル化によって スイッチをオフにされる傾向があることを突き止めた。一方、細胞分化の後期段階を統制している遺伝子は、細胞が個別機能に特化していくにつれて主としてDNAのメチル化で 抑制されるようになる。Dr. Renは、「この分化過程に動物の成長の論理を探ることができる。ヒストンのメチル化を逆転させることは比較的簡単だが、DNAのメチル化を逆転させることは 複雑な過程で、大がかりな操作が必要になるだけでなく、人体に有害な突然変異をもたらす可能性がある。従って、胚の発生過程の様々な段階でマスター遺伝子を抑制しなければならない時には ヒストンのメチル化でこれを行い、細胞がすでに分化を終え、特定機能に落ち着き、もう遺伝子の活動が必要でなくなった段階でDNAのメチル化によって遺伝子のスイッチをオフにする というのは理屈にあっている」と述べている。

  さらに研究チームは、胚の発生全段階で、ヒト・ゲノムにはまったくDNAのメチル化が起きない部分が1,200箇所も各所に分散していることも突き止めた。しかも、胚の発生段階で マスター制御と考えられる遺伝子の大部分がこのような部分に集中していることが判明、研究チームはこのような部分をDNAメチル化の谷間 (DMVs)と名付けた。また、大腸がん細胞では、 DMVsに異常なメチル化が起きていることも突き止めた。いくつかの種類のがんでDNA異常メチル化が重要な働きをしていることは以前から知られていたが、このような新しい発見によって、 細胞のDNAメチル化機構そのものの変化が腫瘍成長に重要な関わりがあることが示唆されている。

  その他にも、研究チームは、活性化されると遺伝子の発現を強化するエンハンサーと呼ばれるDNA塩基配列調整機構を調べ、カタログ化した。その結果、エンハンサーと見られる機構を 103,000箇所に見つけ、6種類の細胞タイプでそれぞれの活性化と休眠化の機序を表にまとめた。研究者は、この研究で得たデータを今後何年もかけてふるいにかける作業を続けることになるだろう。 後成遺伝子の現象を生物学的に解析し、様々な細胞機能や病気を調査することができるのではないかと考えられる。Dr. Renは、 「このようなデータは、ヒトの発生初期の論理を理解する上で非常に役立つことと思う。しかし、私たちの研究の主要な成果は、バイオメディカル研究の分野で大規模な情報源を創造したことだ。 複雑な疾患の多くは、ヒトの発生初期段階に根ざしている」と述べている。

  後成遺伝子マッピングで作られたデータのコンピュータ解析には、ダラス所在University of TexasのDr. Michael Zhang研究室、La Jolla 所在University of CaliforniaのDr. Wei Wang 研究室が協力している。

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  ガラパゴス史観注:

    興味のある方は是非原著を読んでほしいのだが、上記BioQuick Newsの紹介記事だけでも詳しい方はすぐわかると思います。
  要するに遺伝子のメチル化は骨格のヒストンとDNA部分両方に起るらしいが、重要なことは、

  ●胚発生初期を制御するマスター遺伝子は、H3K27me3ヒストン・メチル化によってスイッチをオフにされる傾向がある。
  ●一方、細胞分化の後期段階を統制している遺伝子は、細胞が個別機能に特化していくにつれて主としてDNAのメチル化で抑制されるようになる。
  ●この分化過程に動物の成長の論理を探ることができる。ヒストンのメチル化を逆転させることは比較的簡単だが、DNAのメチル化を逆転させることは複雑な過程で、 大がかりな操作が必要になるだけでなく、人体に有害な突然変異をもたらす可能性がある。
  ●従って、胚の発生過程の様々な段階でマスター遺伝子を抑制しなければならない時にはヒストンのメチル化でこれを行う。
  ●細胞がすでに分化を終え、特定機能に落ち着き、もう遺伝子の活動が必要でなくなった段階でDNAのメチル化によって遺伝子のスイッチをオフにする。
と言うことらしい。



以上

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